JR福島駅東口再開発、総事業費712億円に膨張 開業は1年遅れの30年度
JR福島駅東口再開発、総事業費712億円に

福島市のJR福島駅東口再開発事業を巡り、市と福島駅東口地区市街地再開発組合は21日、再開発ビル建設にかかる総事業費が今年2月までに公表した580億~620億円から、712億円に膨らむ見通しだと明らかにした。このうち市が買い取る公共エリアの施設取得費は約320億円(2月時点)からさらに増大したため設計を見直し、1フロア減の2階建て(一部3階建て)に縮小した上で、7億円増の327億円と見込む。2029年度中としていた開業時期について、1年遅れの30年度を目指す方針も正式に示した。

同日開かれた市議会全員協議会で見直し案を示した。総事業費は当初492億円と見込んでいたが、工事費や資材価格の高騰が影響し3月時点の概算で745億円まで増大。「持続可能な事業規模とし、これ以上事業を遅らせない」として構造を大きく変更せずに床面積の削減や設備の見直しなどで対応、712億円に抑えたとしている。

基本設計で3階建て(一部4階建て)としていた公共エリアは、500人規模が収容できる大会議室などの設置を取りやめ、2階建て(一部3階建て)とする。延べ床面積は約1割に当たる1500平方メートル減の1万3000平方メートル。民間エリアの一部を会議室として代用するほか、コンベンションホールの天井を下げたり、屋上広場の仕様を簡素化したりすることで、3月時点で347億円まで膨らんだ試算からは20億円削減した。

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今後のスケジュールも変更した。今年夏頃から着工準備に入り、28年度に着工、30年度の開業を目指す。当初の開業予定は26年度だったが、度重なる後ろ倒しを経て、4年程度遅れることになった。

民間エリアや駐車場棟、住宅棟に大きな変更はない。再開発組合は開業の遅れに伴う民間エリアのテナント誘致への影響はないとしている。

市役所で21日、記者会見した馬場雄基市長は「規模を縮小しても、機能はこれまでと変わらないように設計した。建物を完成させることが目的ではなく、未来に責任を持てるかという視点で議論している」と説明。その上で「この難局を乗り越え、福島の未来を前に進めたい」と述べた。再開発組合の加藤真司理事長は「市と連携しながら計画通りに進めていく」と話した。

市民の期待途切れぬ事業を

【解説】物価上昇に直面し、見直しを迫られたJR福島駅東口再開発事業。当初の試算から事業費は大きく膨れ上がり、事業を担う福島市と福島駅東口地区市街地再開発組合が実現に向けて出した結論は、公共エリアの施設規模縮小による事業費の圧縮だった。

公共エリアの見直しに当たっては、事業費の削減と機能の維持の両立を目指した。多くの集客や交流人口の創出が見込まれるビジネスイベント「MICE(マイス)」の機能を確保。最大1500人を見込むコンベンションホールも規模は変えず、舞台設備などの一部機能を見直しにとどめる方向だ。大会議室を断念する一方で、中会議室を増やしたほか、民間エリアで補う方向で検討している。市は「基本設計以上に利用度が向上すると捉えている」と説明する。

ただ、計画は当初から二転三転した上、昨今の国際情勢を踏まえれば物価上昇のリスクはさらに拡大する可能性は高い。2027年度末の地方債「合併特例債」の活用期限など、開業までの時間が限られる中、市や再開発組合は「スピード感を持って進める」と繰り返すが、今回の見直しを経ても不透明感は拭えない。

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駅前再開発、全国で難航

駅前再開発事業は、建築費高騰の影響で、全国各地で難航している。名古屋駅周辺は投資規模を縮小する前提で検討を進めることを決めた。事業を断念した地域もある。事業を継続させる意思と覚悟を示した市と再開発組合は市民の期待を途切れさせず、県都の「顔」となる魅力をつくっていく必要がある。