埼玉・川越の市街化調整区域に無許可モスク、市が撤去要求も所有者不明
川越の無許可モスク撤去要求、所有者不明で難航

埼玉県川越市の、原則として建物の建築が許可されていない市街化調整区域に、イスラム教の礼拝堂(モスク)が無許可で建設され、多くの礼拝者が訪れている問題で、市は建築主に対して撤去を求めているものの、建築主の特定には至っておらず、解決の糸口が見えない状況が続いている。

無許可建築の経緯

登記などによると、問題の土地は山林として登記されており、面積は約4500平方メートル。市街化調整区域に指定されているため、市の許可なく建築物を建てることはできない。この土地に、タマネギ形のドームを備えた建物を含む計4棟が建設された。

川越市の説明によると、2024年10月に住民から「鉄骨造りの建物ができた」との通報があり、市が確認したところ、建物の外観はほぼ完成していた。無許可建築であることから、市は都市計画法違反として建築主の調査を開始した。

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所有者の変遷

当時の土地所有者は同県富士見市の不動産業者だったが、市の問い合わせに対し「土地はすでに売却したので関係ない。売却先は個人情報のため教えられない」と回答した。建設に携わった外国人労働者に聞いても、施工業者や発注者は不明で、市は2024年12月に建物に「工事中止」の貼り紙を掲示する行政指導を行った。

登記によると、土地は2025年3月に富士見市の不動産業者から、現場住所を登記上の所在地とする会社に所有権が移転。川越市はこの会社の代表者を現在の所有者とみなし、2026年3月に5年以内の撤去を約束する「是正計画書」を提出させた。

開所式と住民の反応

しかし、2026年4月には建物の「開所式」が開催され、多くの外国人が集まった。近隣住民からは「無許可ではないのか」「住民説明はあったのか」などの問い合わせが相次ぎ、市は5月19日にホームページで経緯を公表した。市によると、市街化調整区域に無許可で大規模な施設が建設されるのは極めて異例だという。

関係者の主張

会社代表は5月、朝日新聞の取材に対し「建物が建てられないことを知らずに土地を購入した」と説明。現場に出入りする代表の父親と名乗る男性は「ここは祈りの場所だ。建物は土地購入前に既に建っており、自分たちは建設していない」と話した。

市開発指導課は「違法建築である以上、少なくとも建物を使用してはならないことを理解してもらいたい。是正計画書の履行を注視する」としている。

モスクの構造と特徴

敷地内には、タマネギ形のドームを持つ礼拝堂のほか、礼拝前に手足を清めるための手洗い場や、メッカの方角を示す壁のくぼみ(ミフラーブ)などが設置されている。天井はドーム状にへこんでおり、2階部分は女性専用の礼拝スペースとなっている。

全国的にモスクの数が増加する中、地域住民との摩擦が生じるケースも少なくない。川越市の事例は、無許可建築という法的問題に加え、多文化共生の難しさを浮き彫りにしている。

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