三陸の漁師町を襲う山火事
三陸海岸に面した岩手県大槌町は、15年前の東日本大震災で津波に襲われ、地震も含めて約7割の家屋が被害を受けました。4月に発生した山林火災は、高台に再建された家々に背後から迫りました。避難指示が出る中、少なくない住民が自宅に残り、消火や防火活動に当たりました。
理容師の女性の葛藤
火災が起きた22日夜、安渡地区の理容師の女性(57)は避難指示を受け、慌てて荷物をまとめました。長男(32)と町内の長女宅に身を寄せましたが、長男は家に戻ると言い出しました。「火が迫ったら誰が通報するの? 家がなくなったら、どうやって暮らしていくの?」と彼女は語ります。
震災の記憶と再建
2011年の震災では、町で4千棟以上の家屋が全半壊し、死者・行方不明者は人口の1割近くにあたる1286人に上りました(関連死52人を含む)。女性の両親が安渡で営んでいた理容店も流され、72歳だった父親を亡くしました。店内には、震災前の地域の仲間の写真や常連客からもらった手芸作品や人形が飾られています。
2018年、高台に自宅兼店舗を再建しましたが、住宅ローンはまだ多く残っています。震災の時は今より15歳若かったため頑張れましたが、それから年をとり、頼りにしていた母親も2020年に他界しました。「また失ったら……」という思いから、もう頑張れないかもしれないと彼女は感じています。
「できるところまで守る」
迷った末、彼女は長男と一緒に家に戻ることを決意しました。彼女は「できるところまで、自分たちで守る」と語り、消火活動に参加しました。この記事は有料記事です。残り1281文字あります。有料会員になると続きをお読みいただけます。



