中東情勢の緊迫化に伴うナフサの供給不安は、農業や医療、観光など幅広い分野に影響を及ぼしている。収穫期を迎えたサクランボ農家では、雨よけ用のビニールシートが手に入らず、実が雨水を吸って割れる被害が拡大。薬局では処方薬の包装サイズを変更する対応を迫られ、人気の土産菓子店では一部サービスを中止する事態となっている。
サクランボ農家、雨よけビニール不足で大打撃
広島県三原市のフルーツ農園「SMILE―LABO HIROSHIMA」では、イチゴやブルーベリー、梨など7種類の果物を栽培。5~6月はサクランボの収穫期で、今年は例年の5倍以上の豊作が見込まれていた。しかし、雨よけのビニールが確保できず、はがれたままの状態が続き、実に亀裂が入る被害が発生。所長の猪上淳氏(47)は「このあたりの木はほとんどダメかもしれない。大豊作だっただけに残念」と悔しさをにじませる。
雨よけビニールの原料となるのは石油化学製品の一種で、ナフサ不足が直接的な原因となっている。農園では代替品の調達を試みているが、供給が追いつかず、収穫量の大幅な減少は避けられない見通しだ。
薬局では包装サイズ変更、もみじまんじゅう店も影響
医療現場でもナフサ不安の影響が顕在化している。薬局では、処方薬の包装に使われるフィルムや容器の供給が滞り、一部の薬剤で包装サイズを小さく変更する対応を余儀なくされている。広島県内の薬局関係者は「在庫はまだあるが、長期化すれば患者への説明や調剤業務に支障が出る」と懸念を示す。
また、広島の定番土産「もみじまんじゅう」を製造・販売する店舗では、包装資材の不足から一部サービスを中止。通常は個別包装で提供している商品を、簡易包装に切り替えるなどの対応を迫られている。観光客からは「お土産としての見栄えが悪くなる」と不満の声も聞かれる。
影響は多方面に、長期化懸念
ナフサは石油精製過程で得られる重要な基礎化学原料で、プラスチックや合成繊維、肥料など幅広い製品の原料となる。中東情勢の悪化により供給が不安定化し、国内の製造業にも打撃を与えている。調査では、製造業の約3割が何らかの影響を受ける可能性があると報告されている。
農林水産省や経済産業省は状況を注視し、必要に応じて支援策を検討する方針だが、具体的な対策はまだ示されていない。サクランボ農家や薬局、土産物店など、影響は現場レベルで深刻化しており、早期の解決が求められる。



