群馬・安中総合射撃場のクレー施設、29年度中に一部開場へ 安全基準満たせず整備遅れ
群馬・安中総合射撃場のクレー施設、29年度中に一部開場へ

群馬県は、銃刀法の安全基準を満たせず整備を中断していた安中総合射撃場(安中市中宿)のクレー射撃施設について、追加の安全対策を講じて2029年度中の一部開場を目指す方針を固めた。2種類あるクレー射撃の射台のうち、遠ざかる標的を撃つ「トラップ射台」のみを整備し、左右から飛来する標的を撃つ既存の「スキート射台」は廃止する。山本一太知事は5月の定例会見で「当初の予定から大幅に遅れてしまった。県民の皆さんにおわびしたい」と述べた。

施設の概要と経緯

同射撃場は、シカやイノシシ、クマなど有害鳥獣を捕獲する担い手を育成するため、猟銃の教習や訓練を行う県有施設。1972年に県クレー射撃場として開場した既存施設を改修し、ライフル射撃施設を併設する形で総合射撃場として整備してきた。当初は2020年7月の開場を目指していたが、安全対策の不備で遅れ、ライフル射撃施設のみが2024年4月に先行開場。クレー射撃施設は休業が続いている。

安全対策の内容

県によると、トラップ射台では、弾丸の到達範囲を抑えるため、射台を覆う防弾ネット2枚と防護壁3枚を設置する。さらに、弾が到達する恐れがある射撃方向前方の崖のり面を追加取得する。面積は1万1507平方メートルで、内訳は民有地7946平方メートル、国有地3561平方メートル。住宅などの構造物はないという。

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スキート射台の廃止

一方、スキート射台は射撃角度が高く、追加の安全対策をしても弾丸到達範囲の問題を解消する見通しが立たないとして廃止する。県は2019年ごろ、スキート射台に約1200万円をかけて新設備を導入するなど修繕を済ませていた。施設を取り壊すかどうかは今後判断する。

事業費と今後のスケジュール

県は用地取得費約2600万円を盛り込んだ補正予算案を、5月21日に開会した県議会第2回定例会に提出。予算成立後に用地交渉を始め、2027、28年度に取得を進めた上で、同年度後半から追加工事に着手する想定。ただ、民有地には相続関係者が多数に上る土地もあり、開場時期は交渉の進展で変わる可能性がある。

施設全体の追加対策前の整備費は約12億1千万円だったが、追加対策を含めると最終的に約16億5千万円に上る見通し。県は2013年度の県議会鳥獣害対策特別委員会の提言を受け、翌年度から整備を検討し、クレー射撃施設の改修設計は2017年度にライフル射撃施設の設計と併せて行った。しかし、クレー射撃施設からの弾丸がライフル射撃施設に到達する可能性などを巡り、県警との協議に時間を要した。県の担当者は「見通しが甘かった」と説明している。

知事の見解

山本知事は近年のクマ被害などに触れ、「クレー射撃施設は野生鳥獣を捕獲する人材の確保、育成に欠かせない施設」と説明。「やっとめどが付いたことは安堵している」と述べた。県はスキート射台を廃止しても、ライフル射撃施設とトラップ射台があれば、銃の所持許可に必要な教習や、狩猟免許取得後に所持することが多い散弾銃の訓練はできるとしている。県内の狩猟免許所持者数は、ピークだった1981年度の延べ9788人から、2025年度は延べ4504人に減少している。

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