千葉県は26日、県内の地震被害想定を10年ぶりに見直し、公表した。想定した3種類のうち、比較的起こりやすいとされるマグニチュード(M)7.3の「県北西部直下地震」の場合、建物被害(全壊・焼失)は7万6千棟、死者は2400人に上るとしている。一方、M8.5の「房総半島東方沖の地震」では、外房への津波が最大12メートルを超え、死者は5万人を超える恐れもあると警告している。
3つの被害想定の概要
記者会見で熊谷俊人知事は、「最悪の事態などを想定し、注意を喚起するもの。いざという時の備えと適切な避難行動が大事だ」と述べ、県民に警戒を呼びかけた。今回の見直しは、東日本大震災を踏まえた2016年の公表以来となる。国の首都直下地震被害想定の見直しなどを反映させた内容となっている。
今回の想定では、前回公表された県北西部直下地震に加え、関東大震災の再現となる「大正型関東地震」(M7.9~8.0)と、約千年前に発生したとされる「房総半島東方沖地震」の想定もまとめられた。県は今回の概要版に加え、近く市町村ごとの被害など詳細な報告書も公表する予定だ。
県北西部直下地震
このタイプの地震は、県の防災対策で主眼が置かれている。南関東地域でM7クラスの地震が30年以内に発生する確率は約70%と比較的高い。震源は市川市から千葉市直下で、震源に近い東京湾岸のほか、やや離れた利根川沿いでも震度6強の揺れが想定される。震源が陸域であるため、津波は想定しない。
「冬の18時」に発生した場合、建物被害は7万6千棟。耐震化が進んだため、前回の想定から5200棟減少した。しかし、火災による焼失棟数は計算手法の見直しなどにより、前回から5600棟増加し、3万1800棟となった。死者数は前回から300人増の最大2400人。避難者数は避難所で34万9千人、避難所外で52万3千人と推計される。今回新たに算出された災害関連死者数は3800人に上る。
大正型関東地震
震源は神奈川県から千葉県南部。30年以内の発生確率は「ほぼ0~6%」とされる。県内最大震度は7で、県南部の広い範囲で震度6弱から7の強い揺れが予想される。「冬の18時」の場合、建物被害は3万3800棟、死者数は920人、災害関連死は800人と推計される。
津波も広い範囲で発生し、館山市で最大5.0メートル(地震発生から20分後)、南房総市で4.7メートル(同4分後)、鋸南町で3.6メートル(同5分後)などが想定されている。
房総半島東方沖地震
震源は県東方沖で、発生確率は「不明」。県東部の広範囲で震度6弱から7の揺れが見込まれ、外房を中心に津波が予測される。建物被害と死者数は3つの想定の中で最も大きい。
津波の最大高さは、いすみ市で12.8メートル(同21分後)、銚子市で12.5メートル(同43分後)、一宮町で12.1メートル(同36分後)と続く。「冬の18時」に発生した場合、建物被害は11万3600棟で、うち津波による被害は2万9500棟。死者数は4万2100人で、そのうち4万200人は津波によるもの。災害関連死は3700人と推計される。
津波による死者数は避難行動によって大きく異なる。発災後すぐに逃げる早期避難が実現すれば8200人に減るが、最悪のケースは在宅率が高い「冬の早朝5時」で、死者数は5万7200人に増加。この場合、早期避難でも2万2700人と甚大な被害が予測される。
県は今回の想定を地域防災計画に反映させるなどし、防災・減災に取り組む方針だ。



