袴田巌さん名誉毀損訴訟で初の口頭弁論 国側は争う姿勢を明確に示す
2026年3月26日、静岡地裁(平山馨裁判長)において、死刑判決を受け後に再審で無罪が確定した袴田巌さん(90)の弁護団が国を相手に起こした名誉毀損訴訟の第1回口頭弁論が行われました。この訴訟は、袴田さんの再審無罪が確定した際に畝本直美検事総長が発表した談話が名誉毀損にあたるとして、国に対して550万円の損害賠償などを求めるものです。
弁護団側の主張と国側の反論
弁護団側は訴状などで、検事総長の談話に含まれる「判決は到底承服できない」という表現が、袴田さんが真犯人であるという前提に基づいていると指摘。この談話が袴田さんの社会的評価を傷つけ、名誉を毀損していると強く主張しました。一方、国側は答弁書で、「一般人の普通の注意と読み方」を基準に判断すれば、談話から袴田さんが犯人であるとの事実は示されていないと反論し、請求の棄却を求めました。これにより、国側が訴訟で争う姿勢を明確に示す形となりました。
裁判所の指示と今後の展開
裁判所は弁護団側に対し、検事総長の談話からどのようにして袴田さんが犯人だと読み取れるのか、その理由をより詳細に説明するよう求めました。この説明は次回の口頭弁論までに提出される見込みです。次回の口頭弁論は2026年6月11日に設定されており、今後の審理の行方が注目されます。
袴田さんは1966年に静岡県で発生した一家4人殺害事件で死刑判決を受けましたが、長年の再審請求を経て2024年に無罪が確定。この訴訟は、その後の検事総長談話を巡る法的な争いとして、司法と行政の在り方を問うケースにもなっています。事件の背景には、以下のような経緯があります。
- 1966年:静岡県で一家4人殺害事件が発生し、袴田さんが逮捕・起訴される。
- 長い裁判の末、死刑判決が確定するが、再審請求が続けられる。
- 2024年:再審で無罪が確定し、袴田さんは釈放される。
- その後、検事総長が談話を発表し、これを巡って訴訟が提起される。
この訴訟は、冤罪事件の被害者救済と、公的機関の発言責任をめぐる重要な論点を浮き彫りにしており、今後の判決が同種の事例に与える影響も大きいと見られています。関係者からは、早期かつ公正な解決を求める声が上がっています。



