王将元社長射殺事件の第10回公判、遺族が悲痛な思いを語る
2026年3月23日、京都地裁において、「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の元社長、大東隆行さん(当時72歳)を射殺したとして殺人などの罪に問われた特定危険指定暴力団工藤会系組幹部、田中幸雄被告(59歳)の第10回公判が行われた。遺族が被害者参加制度を利用して出廷し、大東さんへの思いを切々と語った一方、被告人質問は実施されなかった。
事件の概要と裁判の争点
起訴内容によれば、2013年12月19日、王将フードサービスの本社前で大東さんが拳銃で撃たれて殺害されたとされる。目撃証言などの直接証拠がなく、田中被告による犯行かどうかが裁判の主な争点となっている。被告は法廷で「決して犯人ではありません」と繰り返し、一貫して無罪を主張している。
遺族の心情表明:深まる喪失感と怒り
公判では、大東さんの妻、娘、息子を含む遺族4人が、代読も交えて心情や意見を述べた。妻は「主人は家族を大切にしてくれましたが、それ以上に王将と社員、仕事が大好きでした」と振り返り、納骨前にはたびたび骨つぼを抱いて泣いたという。そして、「とにかく主人に会いたい」と涙ながらに訴えた。
娘は「父は太陽のような人でした」と語り、王将を東京証券取引所第一部に上場させた父の功績を「誇りに思います」と称えた。同時に、「仕事が一段落したら、家族でゆっくりしたいと話していたのに」と、実現しなかった未来への悔しさをにじませた。
息子は、大東さんの葬儀の際、地域の人々が沿道に立って見送ってくれたエピソードを紹介。「愛された偉大なおやじ、社長でした」と回想し、事件への怒りを込めて「殺害を指示した人にたどりつけるまで、戦い続けます」と強い決意を示した。
被告人質問の実施見送り:被告の供述拒否
公判では当初、被告人質問が検討されていたが、実施されないことになった。田中被告が質問に回答しない意思を示したため、西川篤志裁判長が「一切の供述を拒むということでいいですか」と確認したところ、被告が「はい」と頷き、質問は見送られた。刑事訴訟法には、質問に対する供述を強制されない旨の規定があり、これに基づく判断とみられる。
今後の裁判日程と展望
京都地裁によると、今後の裁判日程として、2026年6月29日に論告求刑が行われる予定で、同年10月16日に判決が言い渡される見込みだ。遺族は引き続き裁判に参加し、真相解明と正義の実現を求めていく方針を示している。事件から12年以上が経過する中、裁判の行方が注目される。



