ミャンマー拠点詐欺事件で「かけ子」被告が法廷で生々しい証言
2026年3月13日、名古屋地方裁判所において、ミャンマーを舞台にした大規模な特殊詐欺事件の第2回公判が開かれました。詐欺罪に問われているのは、「かけ子」役を担ったとされる谷地智成被告(23)と石川翔紀被告(32)の両名です。ともに住居不定で無職とされています。
銃で囲まれた拠点から逃げ出すのは不可能だった
谷地被告は被告人質問の中で、ミャンマーにおける詐欺拠点の実態について詳細に語りました。彼によれば、その施設は周囲を高い塀で厳重に囲まれており、塀の近くには常に銃を携行した兵士が配置されていたとのことです。「逃げ出すのは非常に難しかった」と述べ、自由を奪われた環境を強調しました。
さらに、拠点内では銃を持った人物が徘徊しており、近づくとすぐに銃口を向けられる恐怖にさらされていたと証言。監視の目が行き届き、外部との接触もほぼ遮断されていた状況が浮き彫りになりました。
借金から闇バイト、そして海外での犯罪へ
被告の説明では、元々は車のローンなどで約100万円の借金を抱えていたといいます。2024年11月頃、その返済のために口座売買に関わる闇バイトに手を出し、その後「リクルーター」から海外で「かけ子」として働くよう紹介されました。翌12月には出国し、ミャンマーの拠点に送り込まれたのです。
ノルマ未達でスタンガンによる虐待も
詐欺活動においては、毎日ノルマが課せられていたと谷地被告は述べています。もしそれを達成できない場合、中国人の指示役から腕立て伏せを強制されるなどの罰則が待っていました。さらに、スタンガンを腕やふくらはぎに押し当てられる身体的虐待も日常的に行われ、「赤くなって痛かった」とその苦痛を語りました。
こうした過酷な環境下で、被告は「自分の身を守るためだったとはいえ、被害者の方々には本当に申し訳ない」と謝罪の意を示しました。同時に、「反抗できる勇気はなかった」と、支配下に置かれた無力さを吐露しています。
起訴内容の一部を否認
一方で、谷地被告は起訴内容の一部について「かけていない」と主張し、事実関係を部分的に否認しています。今後の公判では、具体的な関与の程度や証拠の検証が焦点となる見込みです。
この事件は、借金に追われる若者が闇バイトに引き込まれ、海外で犯罪組織に利用されるという現代の深刻な社会問題を象徴しています。名古屋地裁では、引き続き詳細な審理が行われる予定です。



