知床遊覧船事故裁判、桂田被告が「一生背負う覚悟」と供述 天気図の知識不足も認める
知床遊覧船事故裁判 被告が「一生背負う覚悟」と供述

知床遊覧船沈没事故の裁判、被告が責任への覚悟を語る

北海道・知床半島沖で2022年に発生した遊覧船沈没事故で、26人が死亡・行方不明となった事件に関し、業務上過失致死罪に問われた運航会社「知床遊覧船」の桂田精一被告(62)の第10回公判が、3月4日に釧路地裁で開かれた。事故から3年10カ月が経過する中、被害者家族の代理人弁護士からの質問が行われ、被告は責任の取り方について心境を述べた。

「逃げていたこともあったが、一生背負う覚悟」

公判では、被害者参加制度を利用して参加した家族の代理人弁護士が、被告に対し厳しい質問を投げかけた。これまでの公判で被告が「覚えていない」という回答を繰り返してきたことを指摘し、「責任の取り方として『覚えていない』『確認はしていない』、あなたの生き様として、それでいいんですか」と迫った。

これに対し、桂田被告はか細い声で「事故当日は、逃げているところもあったが、一生背負っていく覚悟はしてます」と答えた。被害者家族らは長らく「公の場で真実を明らかにすることが誠意を見せる唯一の方法」と求めてきた経緯があり、被告のこの発言は、そうした要望に応える形となった。

天気図の知識不足を認める

弁護士はさらに、被告の気象・海象に関する知識についても追及した。被告は法令上、運航管理者として天候や海の状況を把握する義務がある立場だが、遊覧船「KAZUⅠ(カズワン)」の航行コースの水深や海図の知識について「私には無い。船長に任せていた」と回答した。

事故当日の天気予報は見ていたものの、天気図は「読み取っていない」と述べ、天気図の中のどれが寒冷前線か「わからない」と認めた。運輸安全委員会の事故調査報告書によれば、事故当日の午前9時から12時にかけて、オホーツク海の低気圧から伸びる寒冷前線が知床半島付近を通過していた。被告はこの寒冷前線を踏まえた天気図の読み解きをしていなかったことを明らかにした。

「正しい知識があれば違う判断も」

「正しい知識があれば違う出航判断があったのではないか」という弁護士の追及に対して、被告は「結果としてこういう事故が起きましたので、あったかもしれません」と応じた。この回答は、気象に関する適切な理解があれば、事故を防ぐ可能性があったことを示唆するものとなっている。

今回の公判は、事故の真相解明と責任の所在を明確にするための重要な機会となった。被害者家族らは、被告の供述を通じて、長年の疑問に答えを得ようとしている。裁判は今後も続き、さらなる審理が行われる見込みだ。