約半世紀前、在日韓国人の若者らが留学先の韓国で「北朝鮮のスパイ」に仕立てられ、死刑を宣告された事件を追ったドキュメンタリー映画「絞首台からの生還」が制作された。元NHK報道カメラマンの小山帥人さん(84)と元毎日放送記者の西村秀樹さん(75)が共同で監督を務め、被害者の苦難と救済への道のりを描く。
軍事独裁下での冤罪事件
1970~80年代、軍事独裁政権下の韓国で学んでいた在日韓国人の若者らが、情報機関に連行され、拷問による自白で「北のスパイ」として訴追され、長期間収監された。死刑を宣告された在日の青年は9人に上り、100人余りが拘束されたとされるが、被害の全体像は今なお不明である。
救援運動と再審での無罪
87年の民主化後、仮釈放されて日本に戻った彼らは90年に「在日韓国良心囚同友会」を結成。2010年代に入り、再審で無罪を勝ち取った。小山さんと西村さんは事件発生当初から、家族の不安や日本の高校・大学の同窓生、市民らによる救援運動を取材。在日青年が「北朝鮮に行った」とされた時期に実際は日本で旅行していたというアリバイなども調べ、真相究明を求める同友会の活動や再審の過程を追った。
映画の内容と公開
映画「絞首台からの生還」では、死刑判決を受け再審無罪となった熊本出身の李哲(イチョル)さん(77)と大阪出身の康宗憲(カンジョンホン)さん(74)へのインタビューを中心に、記録映像や写真を交えて当時の時代背景を探る。李さんは激しい拷問の末に舌を噛むなどの苦しみを経験し、無罪後も心的外傷に悩まされ続けている。作品は昨秋で事件から半世紀が経過したことを機に完成し、日本各地で上映が予定されている。



