死刑確定後に再審無罪となった袴田巌さん(90)の姉、秀子さん(93)が14日、浜松市内の自宅で取材に応じ、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)を厳格化する法案について、「ようやくここまで来た」と一定の評価を示しました。その一方で、「最終的には全面的に禁止するべきだ」と強く訴えました。
法案の内容と秀子さんの評価
法務省が自民党に示した最終案では、刑事訴訟法の本則を修正し、検察による高裁への即時抗告と最高裁への特別抗告の要件を厳格化。さらに、検察が抗告した理由を遅滞なく公表する規定も盛り込まれました。秀子さんは、「禁止は禁止だから、多少は前に進んだ」と評価する一方、「法務省は抜け道を作ろうとする」と警戒し、抗告の全面的な禁止が必要だと訴えました。
抗告禁止をめぐる議論の経緯
この問題では、抗告を容認する政府案に対し、自民党内から抗告禁止を求める声が相次ぎ、議論が紛糾しました。政府案が修正を余儀なくされたことについて、秀子さんは「私たちの声だけじゃなくて、みんなの応援が大きかった」と振り返りました。
48年間の獄中生活と無罪確定まで
今回の見直しのきっかけは、袴田巌さんが48年間を獄中で過ごした末に再審無罪を勝ち取ったことです。2014年に静岡地裁が再審開始を決定したものの、検察が高裁に即時抗告したため審理が長期化。14年に78歳で釈放された巌さんの無罪が最終的に確定したのは、さらに10年後の24年でした。
秀子さんは、無罪を勝ち取るまでの日々を「(検察が)やたら抗告して、犯罪者としての烙印を押されたまま放っておかれた」と批判。「その間国は何をしていたのか。法律は神様が作ったものではなく、人間が作ったものだから直せないことはない」と指摘し、「法律に抜け道がないように国会議員で話し合って欲しい」と今後の国会審議に期待を寄せました。
巌さんの近況
長年の拘禁で精神を病んだ巌さんについて、秀子さんは「本人はまだ妄想の世界にいる。無罪になったということ以外の話は一切していない」と明かしました。一方で、秀子さんが昼寝をしている間に散歩に出かけることもあり、「巌は元気ですよ」と語りました。支援者によると、巌さんはこの日も日課のドライブを楽しみ、食欲もあり、朝食にはキウイやイチゴなどの果物を好んで食べているといいます。
弁護団のコメント
巌さんの弁護団の小川秀世弁護士も同日コメントを発表し、「例外的に抗告ができるとされれば、審理の長期化が避けられない」として、全面的な抗告禁止を求めました。



