「リング」「らせん」などのホラー小説で知られる作家・鈴木光司さん(62歳、浜松市出身)が、子育て体験から生まれた創作の原点や、先入観を打ち破る重要性について熱く語った。2019年6月23日付の紙面記事を再公開する。
「貞子」映画化の秘訣
5月24日に公開された映画「貞子」について、鈴木さんは「なるべく貞子を出さないように製作者に言っている。観客の想像力に委ねるのが最も怖い」と語る。井戸だけを映し、背景を想像させることで恐怖が倍増するという。
ネタの探し方
小説は普通の人が気づかないことを深く掘り下げるべきで、「固定観念や先入観を徹底的に破壊することが大事」と強調。自身の代表作「リング」も、当時2歳の長女がビデオテープを持ってきた偶然から着想を得たという。
作家への道のり
小学5、6年の頃、日記の宿題の代わりに小説を書いていたことが原点。教師の添削を受ける中で、「忖度せずに書くことの大切さを学んだ」と振り返る。また、浜松市長の鈴木康友氏とは幼なじみで、大学時代に彼の下宿で見た井戸が「リング」の発端になったエピソードも披露した。
子育てと創作
結婚後、妻が教師として働く中、鈴木さんが子育てを担当。時間の自由が利く環境が創作の進歩につながり、「子育て体験がなければ『リング』は書けなかったかもしれない」と語る。
若者へのメッセージ
現代の作家は賞を取っても食べていけないとしつつも、「小説を読んでほしい。映画は受動的だが、文字を読むことで想像力を働かせ、人間を豊かにする」と強調。また、文章を書くことで善悪の判断ができるようになると述べ、永山則夫元死刑囚の例を挙げた。
故郷・浜松への思い
「浜松で生まれ、良い先生や友人に恵まれ、鈴木康友という親友と切磋琢磨できた。職業作家として成功した基本は浜松にある」と感謝の意を表した。



