ロシア軍が4年以上にわたり占拠を続けるウクライナ南部ザポリージャ州のザポリージャ原子力発電所について、同州エネルホダル市のドミトロ・オルロフ市長は、職員不足のために管理が行き届かず、設備の劣化が深刻化していると指摘した。ウクライナが管理権を奪還したとしても、安全な稼働を再開するには「数年を要する」との見解を示した。オルロフ市長は退避先の州都ザポリージャで4月28日、共同通信の取材に応じた。
原発は「巨大な軍事基地」に
オルロフ氏は、ロシアが同原発を「巨大な軍事基地」として利用し、内部から原子力事故を誘発する可能性があると警告。「世界を脅迫するための手段にしている」と非難した。同原発はロシア軍の占領下で、ウクライナ側の管理が及ばない状態が続いている。
職員数は4割に激減
オルロフ氏によると、ロシアの侵攻直後の2022年3月に占領される前は、約1万1千人の職員が働いていた。しかし、現在は4千人から4千5百人程度と、占領前の4割前後にまで減少している。職員の大半はウクライナ人だが、侵攻後に新たに雇用された者も多く、専門知識を持つ技術者が不足しているという。
原子炉は現在、冷温停止状態にあるが、常時監視が必要な状況だ。オルロフ氏は「かつて7人で担当していた業務を、今は1人で回している」と述べ、人員不足が安全運転に深刻な影響を及ぼしていると訴えた。設備の点検や保守が十分に行われず、劣化が進行しているため、ウクライナが管理権を取り戻した後も、安全な稼働状態に戻すには長期間の修復作業が必要になると見込まれている。



