北海道の施設放火殺人事件、二審も無罪判決が確定
2026年4月21日、札幌高等裁判所(中桐圭一裁判長)は、北海道北広島市の自立支援施設で2022年に発生した放火殺人事件の控訴審判決を言い渡した。元入居者の荻野正美被告(70歳)に対する一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
心神喪失状態を認定、一審判断を全面的に支持
判決では、被告が事件当時に心神喪失状態にあったと認定した一審札幌地裁の裁判員裁判判決を支持した。これにより、殺人罪と現住建造物等放火罪に問われた被告の無罪が確定した。
事件は2022年9月、同施設で発生した。判決によれば、被告は管理人として施設に住み込んでいた男性(当時71歳)を殺害しようと考え、灯油をまいて火を放った。その結果、施設は全焼し、男性と女性入居者(当時51歳)の2人が死亡した。
検察側の控訴は却下、即日結審の経緯
検察側は一審で懲役30年を求刑していたが、無罪判決を受けて控訴。今年3月の控訴審初公判では、事実取り調べと証人申請を行った。しかし、札幌高裁はこれらの申請をいずれも却下し、即日結審としていた。
この判断は、一審で十分な審理が行われたとの司法判断を示すものと見られる。裁判所は、被告の精神状態に関する証拠を慎重に検討した上で、刑事責任を問えない心神喪失状態であったとの結論を維持した。
事件の背景と今後の課題
自立支援施設は、社会的に困難な状況にある人々の生活を支える場として機能している。今回の事件は、施設内の安全対策や入居者の精神保健支援の重要性を改めて浮き彫りにした。
無罪判決が確定したことで、被告の処遇や被害者遺族への支援が今後の焦点となる。また、同種施設における再発防止策の徹底が求められる状況だ。



