拡散されるデマと臆測、「情報の空白」を突く構造と課題
デマ拡散の構造と課題、「情報の空白」を突く手口

京都府南丹市で今年3月、小学5年の男児が行方不明となり、約3週間後に遺体で見つかった事件では、父親が死体遺棄容疑で逮捕され、5月28日に殺人と死体遺棄の罪で起訴された。その間、SNS上では様々な根拠不明の情報が拡散された。事件そのものとは別に、もう一つの混乱が広がっていたといってよい。

典型的な偽情報の手口

日本ファクトチェックセンターは、注目を集める事件・事故が起きた時にSNSで流れがちな偽情報の典型的な手口を四つに整理している。容疑者を外国籍と決めつけるもの。無関係な人物の画像などを添付して、関与を示唆するもの。加工したり、生成AIで捏造したりした画像を「容疑者の顔写真」として拡散するもの。そして、事件とは関係のない動画や写真を「証拠」として広めるもの。

ほかにも、年齢や勤務先をめぐるフェイク情報も実際にあった。「身内からの情報提供」と称して信憑性を装い、「拡散希望」と呼びかける常套的な手口も見られた。京都府警の幹部や南丹市の担当者は、容疑者が外国籍だとする情報や勤務先に関する情報を否定したが、訂正の声は拡散の速度に追いつかない。

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なぜフェイク情報が広がるのか

情報が不足している状況、いわゆる「情報の空白」が生じると、人々は不安や好奇心から、確認もせずに情報を拡散しがちになる。特にSNSでは、感情を刺激する内容ほど拡散されやすく、真偽よりも共感や驚きが優先される傾向がある。また、一度広まった誤情報を完全に訂正するのは困難で、訂正情報が届く前にさらに多くの人が誤情報に接してしまう。

このような構造的な課題に対処するには、メディアリテラシーの向上やファクトチェックの普及が不可欠だ。個人レベルでは、情報を拡散する前にその出典を確認し、疑問に思ったらすぐに信じない習慣が求められる。また、プラットフォーム側も、誤情報の拡散を防ぐための対策を強化する必要がある。

今回の事件では、警察や自治体が迅速に否定情報を出したものの、SNS上のデマは収まらなかった。今後も同様のケースが予想される中、情報の空白を突くデマの構造を理解し、対策を講じることが急務である。

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