埼玉県川口市は29日、外国人住民からの相談に対応するため、出入国在留管理庁(入管庁)の職員1人が常駐する窓口を7月に市役所内に新設すると発表した。市によると、自治体の施設に入管庁職員が常駐するのは全国で初めての試みとなる。
窓口の概要と目的
新設される窓口は、市役所5階のくらし安全課に設置される。日本人・外国人を問わず、外国人に関する相談を一元的に受け付け、国、県、市がそれぞれの権限に応じて対応する体制を整える。市職員2人に加え、入管庁職員1人が常駐し、特に在留資格に関する相談に迅速かつ的確に対応することを目指す。
岡村ゆり子市長は29日の記者会見で、これまでの相談内容で在留資格に関するものが多かったと説明。「市の権限だけでは踏み込めない領域もある。入管庁職員に直接入っていただくことで、より迅速かつ的確な対応が可能となり、市民の安心に直結する」と述べた。
設置に至る経緯
川口市では2025年12月、当時の奥ノ木信夫市長が自民党外国人政策本部長の新藤義孝衆院議員(埼玉2区)や地元県議、市議らとともに、仮称「川口市外国人政策対応センター」の設置に向け、国に入管庁との連携強化を要望していた。しかし、2026年2月の市長選では、センター設置を公約に掲げた自民推薦の新人候補が岡村市長に敗れた。
一方、政府が2026年1月にまとめた外国人政策の「総合的対応策」では、国と自治体が連携して外国人を含む住民の相談に対応する体制を整備し、入管難民法違反などの取り締まりにつなげることも検討するとしていた。
市長の見解と専門家の懸念
窓口設置の理由について、岡村市長は「秩序ある共生社会を目指すために、国と県と市で検討を進めてきた。一日も早く、市民が安心して安全に暮らせる環境をつくるのが責務だ」と述べた。
しかし、入管行政に詳しい児玉晃一弁護士は「職員1人でどれだけのことができるか疑問で、入管職員の配置ありきではないか。逆に、市内の外国人に問題があるという誤った川口市のイメージが広がり、ヘイトスピーチや排外主義を助長する恐れがある」と指摘している。
川口市は外国人住民が多く、多文化共生の先進地として知られる。今回の取り組みが、全国の自治体における外国人相談体制のモデルとなるか、注目される。



