2024年度に全国の精神科病院で発生した患者虐待が260件に上ることが、厚生労働省のまとめで明らかになった。これは、精神科病院での虐待を発見した際に自治体への通報が法律改正により義務化されてから初年度の数字であり、加害者の約6割を看護師が占めている。専門家は「虐待と認定された260件は氷山の一角ではないか」と警鐘を鳴らしている。
法改正前との比較で顕在化
厚労省が法改正前の2015~2019年度の5年間について実施した調査では、自治体が把握した精神科医療機関での虐待疑い事例はわずか72件だった。今回の数字はそれと比較して大幅に増加しており、虐待の実態がより明確になった形だ。しかし、依然として必要のない長期間の身体拘束や隔離が一部で行われていると指摘されており、患者の人権を守るための取り組みがさらに求められそうだ。
通報・相談の内訳
厚労省によると、通報・相談は全体で6024件に上り、そのうち患者本人からの通報が約8割を占めた。都道府県と政令指定都市がこれらの通報を調査し、虐待と認定されたのは4.3%にあたる260件。1件の通報で複数の患者が虐待を受けたケースもあり、被害者は合計413人にのぼった。
加害者の職種別内訳
加害者としては看護師が202人で最多。次いで准看護師、看護助手、医師の順となっている。この結果から、精神科病院における虐待の防止には、看護師を中心とした職員への教育や監視体制の強化が急務であることが浮き彫りになった。
精神科病院における虐待問題は、長年にわたって指摘されながらも表面化しにくい側面があった。今回の法改正と初年度の集計結果は、今後の改善に向けた重要な一歩となる可能性がある。



