警察官の採用をめぐる環境が厳しさを増している。全国の採用試験の受験者数は20年前の4分の1以下に減り、今後は大量退職も見込まれる。警察庁は、採用の間口を広げようと、試験方法や中途採用の年齢制限の緩和など、制度の見直しに乗り出した。
受験者数と競争倍率の低下
警察庁によると、都道府県警の警察官採用試験の受験者数は2024年度が4万3059人で、競争倍率は2004年度の11.6倍から3.5倍に落ち込んだ。試験に合格しても辞退する人が多く、辞退者が合格者全体の半数にのぼる警察もあるという。
退職者の増加見通し
警察官の志願者が減る一方で、退職者は増える見通しだ。近年、退職者は年間5千~6千人ほどで推移しているが、現在40歳前後の世代が退職期に近づく15年ほど後になると、年間約8千人に膨らむとみられる。
警察庁の危機感と対策
今後、若年層の人口はさらに減少すると見込まれ、警察庁は「採用情勢はいっそう厳しさを増す中、優秀な人材の確保が必要不可欠」と危機感を強める。採用試験は各都道府県警がそれぞれ個別に実施しており、今年4月には「緊急対策プラン」として、全国の警察に対して、具体的な取り組みのあり方を示した。
採用間口の拡大
柱の一つが、採用試験の見直しによる「採用間口の拡大」だ。警察官の採用試験には、警察官に必要な基礎知識などを問う特有の教養試験がある。警察庁は、そうした試験に特化した対策をしなくても受験しやすいように、民間企業の採用で普及しているSPIなどの適性試験を導入し、受験方式の選択肢を広げるよう促している。すでに約半数の警察で導入されているという。
試験時期の見直しも検討している。また、中途採用の年齢制限を緩和し、経験者や専門性を持つ人材を積極的に受け入れる方針だ。さらに、年収を増やすための給与制度の見直しや、プロスポーツ選手など特定の技能を持つ人材を対象とした特別採用枠の設置も検討されている。
秋田県警のユニークな取り組み
秋田県警はユーチューブで、秋田県住みます芸人の「ちぇす」が警察学校に体験入校する動画を配信している。こうしたSNSを活用した広報活動も、若年層へのアプローチとして注目されている。
警察庁は今後も、採用環境の改善に向けた施策を継続的に実施し、優秀な人材の確保に努める方針だ。



