前橋市のアパートで2021年、生後1カ月の次女に暴行を加え死亡させたとして、傷害致死と傷害の罪に問われた住所不定、無職の狩野正輝被告(25)の裁判員裁判で、前橋地裁は11日、懲役9年(求刑懲役12年)の判決を言い渡した。
裁判長が指摘した虐待の実態
高橋正幸裁判長は判決理由で、生後間もない無抵抗の乳児に対して継続的な虐待を繰り返していたことを「卑劣かつ悪質」と厳しく非難。弁護側は被告に注意欠如多動症(ADHD)に近い傾向があるとして懲役6年が妥当と主張したが、裁判長は「影響はごく限定的で、責任を大きく減ずる事情とはならない」と退けた。
事件の経緯と判決内容
判決によると、被告は2021年10月18~27日ごろ、当時住んでいた前橋市のアパートで、娘の茉夕ちゃんの腹や背中をつねるなどして約1週間のけがを負わせた。さらに11月18~28日ごろ、胸腹部を手で強く押すなどし、外傷性ショックにより死亡させたとされる。
検察側は、被告が日常的に苛立ちを募らせ、些細なことで乳児に暴力を振るっていたと指摘。一方、弁護側はADHD傾向による衝動性を酌量するよう求めたが、裁判所は完全な責任能力を認めた。
判決後、傍聴していた遺族は表情を崩さず、静かに法廷を後にした。被告は判決を聞き、うつむいたままであった。



