名古屋地方裁判所は5日、愛知医科大学病院(愛知県長久手市)で2018年に発生した医療ミスを巡り、大学側に約1億1800万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。この医療ミスにより、当時生後7か月だった男児が低酸素脳症となり、現在も意識不明の状態が続いている。
医療ミスの経緯
判決などによると、男児は2018年7月、肺炎のため同病院に入院。気管に人工呼吸器のチューブが挿入されていたが、看護師が男児の体の向きを変えた際、チューブが気管から抜け落ちた。このため男児は一時心停止に陥り、低酸素脳症を発症した。
裁判所の判断
名古屋地裁の片山博仁裁判長は、体位変換時にチューブが抜けることは予見可能であり、看護師には直ちに医師に再挿入を求める義務があったと指摘。さらに「事故発生から約3分以内に再挿入されていれば、後遺障害が生じなかった可能性が高い」と結論付けた。
両親は大学側に約1億7100万円の損害賠償を求めていたが、裁判所は約1億1800万円の支払いを命じる形となった。
母親の思い
判決後、母親は取材に応じ「理不尽な逆境の中を懸命に生きてきた息子に判決を伝えたい」と語った。男児は現在も意識不明の状態で、家族の長い闘いが続いている。
病院の対応
愛知医科大学病院は「判決文が届いておらず、詳細なコメントは差し控える」としている。今後の対応については、判決文を確認した上で検討する方針とみられる。



