103歳の元従軍看護婦、桜の下で感謝を繰り返し旅立つ
103歳の元従軍看護婦、桜の下で感謝を繰り返し旅立つ

やわらかな風に舞い上がった桜の花びらが、陽光を浴びて輝く。3月末の昼下がり、岐阜市の中村ミチさん(103)は、弱った体を押して花見に訪れた。彼女は太平洋戦争下、インパール作戦の従軍看護婦として従事した。飢えと感染症で3万人以上の日本兵が亡くなった「史上最悪の作戦」の中で、雨期のジャングルを命懸けで撤退した経験を持つ。

戦争の記憶と桜の思い出

「ミャンマーでも桜が咲いて、花見をしたんだよ」と中村さんは語った。本格的に戦局が悪化する前、同僚らと手作りの餅を食べた花見が、わずかな明るい思い出として心に残っている。こうした体験を公にしたのは100歳を超えてからだった。

戦後も看護の道を歩む

戦後も看護の道を歩んだ中村さんは、我慢強く、常に感謝の言葉を口にしていた。苦しそうに呼吸しながらも、満開の木々を前に「幸せやねえ。ありがとう」と繰り返した。10日後、桜が散るのを待たず、うららかな春の空へ旅立った。彼女の生涯は、戦争の苦難と平和への感謝を後世に伝えるものとなった。

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