母体保護法の不妊手術禁止は「合憲」と東京地裁が判断、ただし制度の見直しを付言
不妊手術禁止は「合憲」と東京地裁、制度見直しを付言

不妊手術禁止規定は「合憲」と東京地裁が判断、制度の見直しを促す付言も

2026年3月17日、東京地裁(鎌野真敬裁判長)は、不妊手術を原則禁止する母体保護法の規定が憲法に違反しないとの判断を示した。生殖に関する自己決定権の侵害を主張して20~30代の女性5人が国を訴えた訴訟において、原告らの賠償請求を退けた判決が言い渡された。

判決の核心:合憲判断と制度への注文

判決では、母体保護法が定める不妊手術の要件について「法律の目的に照らして合理性に乏しい」と指摘し、制度のあり方に関する適切な検討が行われることを望む付言を加えた。この付言は、現行法の運用に改善の余地があることを示唆するものとして注目されている。

原告の主張と国の反論

原告らは、未婚や子どもがいないなどの理由で母体保護法の要件を満たさず、国内で不妊手術を受けられない状況を訴えた。「産まないという選択を国が制限するのはおかしい」として、個人の尊重を定めた憲法13条などに違反すると主張し、手術を受けられる地位の確認や慰謝料を求めた。

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これに対し、国側は「不妊手術を受ける権利は憲法で保障されるものではない」と反論。規制について「子を持たないという自己決定権を制約しているとしても、他の避妊手段があるため問題ない」「手術後に後悔する可能性がある」などと指摘し、規制の正当性を強調した。

母体保護法の歴史的背景と現在の課題

母体保護法のルーツは、1940年に制定された戦時中の「国民優生法」に遡る。当時は「産めよ殖やせよ」の思想のもと、中絶や不妊手術が原則禁止された。戦後の1948年には「優生保護法」に改正され、障害者への強制不妊手術が広く認められた一方、自発的な不妊手術には配偶者同意や多産の要件が設けられ、原則禁止が継続された。

1996年、強制不妊手術への批判が高まったことを受け、優生保護法は「母体保護法」に改正された。この際、女性団体などから自発的な不妊手術の規制廃止を求める声が上がったが、国会での議論が不十分なまま改正が実現し、現在まで規制が残り続けている。

今後の展望と社会的影響

今回の判決は、不妊手術をめぐる法的枠組みに一石を投じた。原告らは「産まない体」を求める選択が制限される不合理さを訴え、判決の付言は制度の見直しを促す契機となる可能性がある。生殖に関する自己決定権と国の規制のバランスが、今後の議論の焦点となるだろう。

この訴訟は、ジェンダーや個人の尊厳に関わる重要な問題を浮き彫りにし、社会全体で生殖医療のあり方を考える機会を提供した。法律の改正を求める声が高まる中、国会や行政による対応が注目される。

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