ジェンダー平等に課題残す「区民交通傷害保険」、受取人指定対応開始も二度手間問題
区民交通傷害保険、受取人指定対応開始も二度手間問題

区民交通傷害保険、受取人指定対応開始も手続きに課題

東京都世田谷区など都内16区が実施する団体保険「区民交通傷害保険」において、死亡保険金の受取人指定が約款通り可能になったことが明らかになった。しかし、手続き面では依然として課題が残されており、加入者にとって不便な状況が続いている。

約款とリーフレットの不一致が問題に

この問題は昨年10月、世田谷区議会特別委員会での区議の指摘によって表面化した。保険の約款には「死亡保険金受取人を定めなかった場合は、法定相続人を死亡受取人とする」と記載されている一方、各区が配布するリーフレットでは「法定相続人に支払う」とのみ記されていた。

さらに、申し込み書類やオンラインフォームにも受取人指定欄が設けられていなかったため、同性婚や事実婚のパートナーなど、法定相続人以外を受取人に指定したい加入者が機会を逸する可能性が指摘されていた。

対応開始も二度手間の状態

損害保険ジャパンと各区の協議を経て、現在ではリーフレットに受取人指定が可能である旨が記載されるようになった。指定を希望する加入者は、各区の窓口を訪れ、所定の用紙に必要事項を記入して提出する必要がある。

しかし、申し込み書類やフォーム自体は従来のまま変更されていないため、新規加入者は加入時に受取人を指定することができない。指定したい場合は、改めて区役所を訪れて手続きを行う必要があり、二度手間を強いられる状況が続いている。

16区で順次対応開始

同事業は世田谷区をはじめ、千代田区、江東区、品川区、文京区など都内16区で利用されている。手続き方法は各区で共通化されており、多くの区では1月下旬から対応を開始。残る4区も順次、受取人指定を受け付ける体制を整えている。

世田谷区の担当者は「より良いサービスになるよう努めてほしい」とコメント。損害保険ジャパン広報部も「各区の要望を踏まえて対応してきた。引き続き協議を重ねたい」と述べ、改善に向けた姿勢を示している。

ジェンダー平等への課題

この問題は、行政サービスにおけるジェンダー平等の実現に課題があることを浮き彫りにした。保険制度の設計や運用において、多様な家族形態への配慮が不十分だった点が批判を集めている。

今後の課題として、オンラインでの受取人指定手続きの実現や、申し込み時点での指定可能化など、利用者利便性の向上が求められている。関係機関は、より包括的な対応策の検討を進める必要があるだろう。