聖マリアンナ病院、ICUの医療廃棄物を再資源化へ 持続可能な集中治療を目指す
聖マリアンナ病院、ICU廃棄物を再資源化 (03.04.2026)

聖マリアンナ病院、ICUの医療廃棄物を再資源化へ 持続可能な集中治療を目指す

神奈川県川崎市宮前区にある聖マリアンナ医科大病院が、院内で最も多くの廃棄物を排出する集中治療室(ICU)において、ごみ分別を徹底し、プラスチックのリサイクルに取り組んでいる。医薬品パッケージなどを業者に委託してボードに加工し、医学生らがオリジナルグッズの開発を進める計画だ。担当者は「持続可能な集中治療のモデルケースにしたい」と意気込んでいる。

ICUでの廃棄物削減と分別の重要性

24時間体制で患者に対応するICUでは、使い捨ての消耗品などが大量に発生する。同病院の救急ICUと救急高度治療室の病床数は全体の約3%に当たる30床だが、廃棄物量は全体の10%に上っている。この状況を改善するため、集中治療に従事する医師の津久田純平さん(44)が中心となり、プロジェクトが立ち上げられた。

津久田さんは昨年3月、米フロリダ州で開催された米国集中治療医学会(SCCM)の総会に出席した際、欧米の医療機関で推進されている「Green ICU(持続可能な集中治療)」の存在を知った。これは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量や廃棄物を削減し、環境負荷を最小限に抑えた集中治療を目指す活動だ。津久田さんは「ごみの分別が根付いている日本が強みを生かせる分野ではないのか」と感じ、帰国後、同僚医師らとともにプロジェクトを開始した。

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医療廃棄物の分類と再資源化の取り組み

同病院では、医療行為に伴う「医療廃棄物」を以下の3種類に分類している。

  • 血液や体液が付着した注射針などの「感染性廃棄物」
  • 血液などが付着していない薬瓶などの「非感染性廃棄物」
  • 医薬品パッケージやシリンジ(注射筒)などのプラスチック

しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以降は、感染リスクを考慮し、すべての廃棄物を感染性廃棄物として処分していた。サンプル調査を実施したところ、割合は感染性廃棄物40%、非感染性廃棄物32%、プラスチック28%だった。

プロジェクトでは、コロナ前と同じく3種類に分別するとともに、プラスチックはできる限り廃棄せずに再資源化を推進。その結果、厳格な管理が求められる感染性廃棄物の総量が減少し、処理費用は昨年8月以降、毎月前年比30%減を達成している。

廃プラスチックの再資源化とコスト削減

廃プラスチックの再資源化は、リサイクル加工会社「REMARE(リマーレ)」の三重工場(三重県伊勢市)に依頼。洗浄・粉砕し、医薬品パッケージの模様を生かしたボードに加工している。

試作品は30センチ四方で25万円と高額だったが、量産化によるコストダウンを図れば、同じサイズが8千円程度まで安くなる見込みだ。活用方法については、医学部2、3年生が持続可能な開発目標(SDGs)に関する授業の中で検討を進める予定である。

国際的な評価と今後の展望

同病院のプロジェクトは、今年3月のSCCM総会で、若手研究者に贈られる「スター・リサーチ・アワード」を受賞した。津久田さんは「国内でプラスチックの再資源化にまで取り組むのはおそらく初めて。日本全体に広がっていけば医療費の削減につながり、より優れた集中医療が提供できる」と語っている。

この取り組みは、環境負荷軽減と医療費削減を両立する持続可能な医療のモデルとして、今後、他の医療機関にも広がることが期待される。聖マリアンナ病院の挑戦は、医療現場におけるSDGsの実現に向けた重要な一歩となるだろう。

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