暗闇と碁盤が問いかける「対等なかかわり」の本質 大阪発の挑戦
暗闇と碁盤が問う「対等なかかわり」の本質

暗闇と碁盤が照らす「対等なかかわり」の可能性

約3年前、東京で開催された「ダイアログ・インザダーク」というプログラムに参加した経験がある。初対面の6人から8人で構成されたグループが、人工的に作られた完全な暗闇の中を探索する90分間の体験だ。年齢や肩書、容姿といった社会的な情報が遮断され、純粋な人間関係だけが浮かび上がる空間であった。

視覚障害者との意外な出会い

案内役を務めたスタッフは視覚障害者だったが、さらに驚いたのは、参加者の中に全盲の男性がいたことだ。当初は「なぜわざわざ暗闇の体験に?」という疑問が頭をよぎったが、直接尋ねることはできず、イベントが始まった。暗闇の中では、前の人の肩に手を置き、声をかけ合いながら進む「汽車ぽっぽ」方式が採用され、誰もが他者の助けを必要とする状況が生まれた。そこには社会的な差異は存在せず、平等な協力関係が築かれた。

大阪発の囲碁大会での挑戦

先月、大阪府東大阪市で開催された「第20回全国高校囲碁選抜大会」に関する原稿を読んで、この暗闇体験を思い出した。大会には、視覚に障害のある佐藤美空さん(17歳)が、専用の碁盤「アイゴ」を使用して出場し、女子個人戦で見事2位を獲得したのである。アイゴは、碁盤や碁石の表面に凸凹を施し、見えなくても手触りで打つことを可能にする画期的な道具だ。

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普及を推進する日本視覚障害者囲碁協会の柿島光晴さんは、「道具さえあれば、誰とでも対等に戦えるのが囲碁の魅力」と語る。この言葉は、逆に言えば、日常生活には当たり前のように不均衡が存在していることを示唆している。佐藤さんと、アイゴを使い慣れない高校生との対局を想像すると、双方に努力が必要だっただろうが、若い心に深い印象を残したに違いない。

対等性を求める社会的メッセージ

暗闇体験で全盲の男性が参加した理由は、おそらく「対等なかかわり」を求める意思の表れだったのだろう。社会的なラベルを取り払い、純粋な人間同士の交流を実感する場を求めての行動と考えられる。同様に、アイゴを通じた囲碁の対局は、視覚障害の有無にかかわらず、公平な競技の機会を提供する試みである。

これらの事例は、私たちの社会がまだ完全な平等を実現できていない現実を浮き彫りにしつつ、それを超える可能性を示している。暗闇や特殊な道具が、差異を乗り越えるきっかけとなり、真の対等性を育むことができるのだ。今後もこうした取り組みが広がり、多様性を尊重する社会の構築に寄与することが期待される。

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