車いすの女性が諦めなかった結婚式の夢 ウエディングプランナーと叶えた感動の物語
車いす女性の結婚式の夢 プランナーと叶えた感動物語

倒れても諦めなかった結婚式の夢 車いすの女性とプランナーの挑戦

東京・丸の内のレストランで今年1月下旬、一組の夫婦が結婚式を挙げた。新婦の西口友美さん(46)は左半身が不随のため車いすを使用し、失語症もある。それでも純白の衣装に身を包み、家族や友人たちに見守られながら輝く笑顔を見せた。この晴れの日は、経験豊富なウエディングプランナーの伴走によって実現したものだ。

くも膜下出血からの闘いと新たな出会い

西口さんは自動車レースのチームマネジャーとして働いていた2017年7月、突然くも膜下出血で倒れた。一命は取り留めたものの、左半身不随と失語症という後遺症が残った。当初はリハビリに前向きになれず、「いなくなりたい」とまで思い詰める日々が続いた。

そんな中、2023年に出会ったのが直延さん(47)だ。献身的に支えてくれる直延さんと2025年に結婚を決意。倒れてからは多くのことを諦めざるを得なかったが、結婚式だけは絶対に諦めたくなかったという。これまで力になってくれた人たちに、元気になった姿を見せて感謝を伝えたいという思いからだった。

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ウエディングプランナー・岩田美生さんの決意

障害のある人の結婚式を担当した経験のあるウエディングプランナーをインターネットで探し、数人に連絡を取った西口さん。「責任を持てない」と断る人もいる中、フリーのプランナーである岩田美生さん(52)が根気強く付き合ってくれることになった。

岩田さんはかつてブライダル業界の大手企業で働いていた経験を持つ。1日に何組も挙式する会場では時間や場所の制限があり、性的少数者(LGBTQ)や車いすを利用する新郎新婦らの願いに十分に応えられなかったことに後悔を募らせ、独立を決意した経緯があった。

困難を乗り越えた打ち合わせの日々

3000組以上の結婚式を手がけてきたベテランの岩田さんでも、失語症のある友美さんとの打ち合わせは容易ではなかった。震える手でスマートフォンを操作し、短い文でしか気持ちを伝えられない友美さんとは、毎日何往復もメッセージを交換。自宅での打ち合わせは毎回5時間に及んだ。

「どんな式にしたい?」と岩田さんが尋ねると、友美さんは「何ならできる?」と聞き返してきた。さまざまなことを諦めてきた友美さんの心情を痛感した瞬間だった。

細やかな配慮とサプライズの演出

昨年9月には結婚式前の撮影が行われ、友美さんは和装で臨んだ。岩田さんは車いす利用者を専門とする着付師を手配。さらに写真を人工知能(AI)で加工し、車いすでは行きづらい場所で撮影したように見える作品も作成した。

式当日には、岩田さんが友美さんのトイレ介助にかかる時間を考慮し、招待客の集合や会場に入る時間帯を緻密に調整。着用しやすいようにドレスは上下が分かれたタイプを選び、お色直しには赤いドレスを準備した。式の中盤では、友美さんが直延さんに支えられながら、サプライズで列席者の前を一緒に歩く感動的な場面も演出された。

「重い障害でも、できるんだよって」

打ち合わせから事前撮影、式本番まで寄り添った岩田さんは語る。「まず障害を知ろうとすること、できる範囲の努力をすること、他に可能な方法を考えることが大切だと思う。バリアがなくならなくても、バリアを何とかしようと考える人を増やせたら」

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「倒れてから、こうするのが夢だった」と目を輝かせる友美さんは続けた。「支えられて、逃げないでリハビリして、ここまで回復できたから、直ちゃん(夫)にも巡り合えた。努力は報われるんだと思った。諦めたこと、すごいいっぱいあるけど、幸せになりたいっていうのは諦められなかった。重い障害でも、できるんだよって思ってもらいたい」

車いすという障害と向き合いながらも結婚式の夢を諦めなかった女性と、その願いを叶えるために尽力したウエディングプランナー。二人の協力によって実現した結婚式は、障害の有無にかかわらず、誰もが幸せを追求できる社会の可能性を示す感動的な物語となった。