滋賀県で光免疫療法の保険診療開始、頭頸部がん患者に新たな選択肢
滋賀で光免疫療法保険診療開始、がん治療に新選択肢

滋賀県で光免疫療法の保険診療が開始、がん治療に革新をもたらす

がん細胞を光に反応する薬剤とレーザー光で破壊する「光免疫療法」の保険診療が、滋賀県内でも導入されました。この治療は、滋賀医科大付属病院(大津市)と淡海医療センター(草津市)の2施設で開始され、手術や放射線といった標準治療の後でも根治を目指せる点が特長です。対象となるのは、のどや口の中、鼻などにできる頭頸部がんが再発したか、手術が不可能な患者で、新たな治療選択肢として期待が高まっています。

光免疫療法の仕組みと期待される効果

光免疫療法では、がん細胞の表面にある特定のたんぱく質に結合する抗体と、光に反応する色素を組み合わせた薬剤を投与します。投与後、約1日かけて薬剤ががん細胞に集まったところで、正常な組織にはほぼ害のない近赤外光を照射します。これにより、がん細胞の細胞膜が壊れ、死滅する仕組みです。光ファイバーを入れた針を使用すれば、体内の深い部分にある腫瘍にも治療が可能で、高い精度を実現しています。

この治療は、がんを縮小させる効果が不十分な場合でも、4週間以上の間隔を置いて最大4回まで実施できます。手術や放射線治療後に再発した患者にとって、根治を目指せる新たな手段として注目されています。ただし、治療後には患部に強い痛みが出るなどの副作用が報告されており、目に光が入らないようサングラスの着用が必要になる点には注意が必要です。

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滋賀県内での導入事例と医療現場の反応

国内では2020年から、日本頭頸部外科学会の認定施設で公的医療保険を使った光免疫療法が受けられるようになりました。滋賀県内では、滋賀医大病院と淡海医療センターの2施設が認定されており、昨年12月には同病院で上あごの歯肉がんが再発した70代の女性に県内1例目の治療を実施しました。女性の腫瘍は縮小し、再び増大することなく良好な経過をたどっていると報告されています。

一方、淡海医療センターでは今年1月、中咽頭と上あごのがんの患者に県内2例目と3例目の治療を行いました。保険適用は、切除できない局所進行か局所再発の頭頸部がんに限られています。滋賀医大病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の竹中幸則教授(52)は、「標準治療を終えて手立てがなかった患者さんに、県内で新たな選択肢を提供できるようになったことは非常に大きい」と述べ、この治療の意義を強調しています。

頭頸部がんの概要と治療の現状

頭頸部がんは、脳と目を除いて鎖骨から上にできるがんの総称で、最も多い口腔がんや30、40代にも多い甲状腺がんのほか、鼻腔・副鼻腔がん、喉頭がん、咽頭がんなどに大別されます。毎年約3万3000人(甲状腺がんを除く)が発症し、従来は手術や放射線、薬物治療が主流でした。光免疫療法の導入により、これらの治療法に続く新たなオプションが加わり、患者の生活の質向上に貢献することが期待されています。

この治療法は、正常な組織を傷つけにくい特性を持ち、従来の治療では難しかった症例にも対応可能です。滋賀県での保険診療開始は、地域医療の充実を象徴する一歩として、今後も注目されるでしょう。

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