厚労省が福岡のクリニックに緊急命令 再生医療の継続で患者安全に重大な懸念
厚生労働省は4月21日、自由診療の再生医療において患者が死亡した事案を受け、「トリニティクリニック福岡」(福岡市)に対して、再生医療安全性確保法に基づく緊急命令を発令しました。この命令は、同クリニックが厚労省の治療停止要請を無視して医療行為を継続していたことを受けたものです。
患者死亡と繰り返される要請無視
問題の発端は、今年3月に「ネオポリス診療所銀座クリニック」(東京都中央区)で発生した死亡事故です。慢性疼痛の治療として自身の脂肪由来の細胞を投与された外国籍の60代女性が亡くなりました。この細胞は、韓国・ソウルにある「RBio幹細胞培養センター」で加工されたものでした。
厚労省は同月、国内の6クリニックに対して、RBioセンターの細胞を治療に使用しないよう要請しました。さらに、同様の細胞投与後に一過性脳虚血の疑いで入院する事例が判明したため、4月17日には再度、治療中止を求める要請を行っています。
クリニックの対応と過去の問題
しかし、トリニティクリニック福岡は4月18日にもRBioセンターの細胞を使用した治療を実施していたことが明らかになりました。これにより、厚労省は法的拘束力のある緊急命令を出すに至ったのです。
さらに調査が進む中で、2023年に同様の治療を受けた後、少なくとも5人の外国籍患者が体調不良を訴えていたにもかかわらず、クリニックがこれを報告していなかった事実も浮かび上がりました。この報告義務違反は、患者の安全確保という観点から重大な問題です。
再生医療の安全性確保に向けた課題
今回の一連の事態は、自由診療として行われる再生医療における安全性確保の難しさを浮き彫りにしています。厚労省の要請が法的強制力を持たない場合、クリニックが自主的に従うことを期待するだけでは不十分であることが露呈しました。
現在、厚労省は以下の点を中心に対応を進めています:
- 緊急命令に基づくトリニティクリニック福岡の治療一時停止の徹底
- 他のクリニックに対するRBioセンター細胞使用の有無の確認
- 再生医療安全性確保法に基づく報告体制の強化策の検討
患者の生命と健康を守るためには、規制の実効性向上と医療機関の倫理的対応が不可欠です。今回の緊急命令は、そのための重要な一歩となることが期待されます。



