埼玉県立小児医療センター、髄腔内注射を特例実施へ 新規入院も限定再開
埼玉県立小児医療センター(さいたま市中央区)は、抗がん剤の髄腔内注射後に神経症状を発症した問題で、中止していた注射を10代の入院患者1人に対して特例で実施することを明らかにした。新たな白血病患者の入院も限定的に受け入れを始める方針だ。
問題の経緯と調査結果
同センターでは昨年1月から10月にかけて、髄腔内注射を受けた10代の男性患者1人が死亡し、ほか男性2人が意識不明の重体となっている。3人の髄液からは、髄腔内注射には通常使用しない抗がん剤ビンクリスチンが検出された。別の患者2人も神経症状が出たが重篤化せず、ビンクリスチンは検出されていない。
院内の調査対策委員会は、死亡および重体となった患者3人の髄液を従来と異なる検査法で分析した結果、2人からビンクリスチンが検出され、残る1人の結果にも矛盾はなかったと報告。委員会は、3人の神経症状はビンクリスチンの髄腔内への混入が原因だと結論付けた。
特例実施の詳細と安全対策
特例で髄腔内注射を行う患者は、他の医療機関での注射が難しい状況にあるため、本人や家族の同意に基づき21日以降に注射を実施する。センターでは以下の徹底した安全対策を講じる。
- 薬の運搬から調剤、注射までの全作業をビデオ撮影して記録
- 病院幹部が立ち会い、作業を直接監督
- 厳格なプロトコルに従った手順の徹底
新規入院の限定再開と今後の対応
新規入院は昨年11月から停止されていたが、他の医療機関での受け入れが「限界に達しつつある」状況を受けて、限定的な再開を決定した。今後は他院で受け入れが困難な場合に限り、センターで入院を受け入れる方針だ。ただし、髄腔内注射自体は他院で実施する。
センターは22日に医療事故調査委員会を立ち上げ、原因究明や再発防止策を本格的に検討する予定である。この問題は医療安全の重要性を改めて浮き彫りにしており、関係者は再発防止に向けた徹底した対策を求めている。



