ADHD治療薬「コンサータ」が国内で深刻な不足状態に
注意欠如多動症(ADHD)の治療に用いられる向精神薬「コンサータ」が、国内の薬局などで数量不足に陥っていることが明らかになった。関係者への取材により判明したこの事態は、多くの当事者の治療継続に影響を及ぼしている。
世界的需要増が日本の供給制限に直結
コンサータは全世界向けに米国で製造されているが、各国における需要の高まりを受け、日本の販売元が出荷制限を実施していることが不足の直接的な原因だ。通常、医薬品の出荷制限は製造トラブルによる場合が多いが、需要に供給が追い付かない事態は異例である。
厚生労働省は昨年末以降、販売元に対して日本向けの供給量を増やすよう要請を続けている。しかし、同省や専門家によれば、コンサータの有効成分であるメチルフェニデートには覚醒剤と似た作用があるため、製造・供給量を増やすことは容易ではないという現実がある。
成人向け承認薬が限られる日本の特殊性
ADHDは注意力の欠如や落ち着きのなさ、衝動性を主な症状とする発達障害だ。コンサータ(商品名)に含まれるメチルフェニデートは、脳内の神経伝達物質の濃度を高めることで、不注意や多動性の改善効果が期待されている。
欧米では複数の代替薬が流通しているが、日本において成人向けに承認されている中枢神経刺激薬は現時点でコンサータのみである。このことが、供給不足が特に深刻な影響をもたらす背景となっている。
解消時期は不透明、患者への影響懸念
他国でもADHD治療薬の需要が高まっているため、国内の不足が解消する時期は現時点で全く不透明だ。一部の患者は既に治療を継続できなくなっており、医療現場では対応に追われている。
厚労省の要請が実を結び、供給体制が早期に改善されることが期待されるが、成分の特性や国際的な需給バランスを考慮すると、短期的な解決は難しい状況が続きそうだ。



