看護師不足で病棟閉鎖、京都府内の公立病院が経営危機に直面
京都府京丹後市弥栄町にある市立弥栄病院では、深刻な看護師不足により、一つの病棟を閉鎖せざるを得ない状況が続いています。田宮均事務長(56)は「とにかく人なんです。医師もですが、看護師も不足しています」と訴え、財務強化が急務であることを強調しました。
病棟閉鎖で年間3億円の収入減、地域医療に深刻な影響
同病院では、看護師約160人のうち11人が育児休業を取得中で、199病床のうち49床(約4分の1)が稼働できない状態です。この病棟閉鎖により、年間約3億円の収入が失われています。京丹後市で唯一分娩が可能な施設として、年約100件の出産を扱い、府立医科大学と連携した「健康長寿」の調査も行う重要な役割を担っています。また、丹後医療圏の2次救急としても存在感が大きく、同病院がなければ、患者は車で30分から1時間かかる他施設へ移動を余儀なくされます。
公立病院の経営悪化、12病院が経常赤字に
読売新聞社の調査によると、京都府内で自治体が設置する14病院のうち、2024年度決算では12病院が経常損益で赤字となっています。これは前年度から5病院増加しており、経営悪化が加速しています。例えば、京都中部総合医療センターは9億1200万円の赤字に転落し、福知山市民病院も前年度の2億7600万円の黒字から2億200万円の赤字へと落ち込みました。
黒字を維持する病院も苦境に立たされています。府設置の洛南病院は、2024年度決算で1200万円の黒字を計上しましたが、本業である「医業収支」は9億4500万円の赤字です。救急や外来患者の増加でわずかに持ち直したものの、府の補助金などに依存しており、経営は不安定な状態です。
人材不足とコスト高騰が経営を圧迫、政策医療のジレンマ
公立病院の経営悪化の要因は、人材不足に加え、職員給与や光熱費の高騰、医療機器の修繕費などが挙げられます。国は2025年度、自治体が病院事業債を活用して経営改善を図る制度を創設しましたが、現時点では交付税による国の支援はありません。京丹後市もこの制度を利用し、11億3600万円を借り入れる補正予算を組みましたが、返済には15年を要する計画です。
さらに、公立病院は感染症対策や災害医療、救急医療など、採算を度外視した「政策医療」が求められるため、民間病院のように「選択と集中」が難しいという課題もあります。診療報酬は2年ごとに改定されますが、人件費や光熱費の上昇に追いつかず、設備更新費も重なり、医業収益を大きく上回る支出が続いています。
地域医療を守るための模索が続く
田宮事務長は「利益を上げつつ、地域に病院があり、安心できる医療を提供しなければ」と決意を新たにしています。公立病院が軒並み経営危機に直面する中、地域医療を維持するための府の取り組みに期待が寄せられています。暗中模索が続く状況ですが、持続可能な医療体制の構築が急がれています。



