ベトナム人技術者が日本の「ものづくり」に憧れ、日本語最難関N1合格で来日
ベトナム人技術者が日本語N1合格、日本のものづくりに憧れ来日

ベトナムの若き技術者が日本のものづくりに憧れ、日本語最難関を突破して来日

日の丸とベトナム国旗、そして富士山や神社の鳥居が描かれた看板が校舎に掲げられている。日本のものづくりを学ぶことができるベトナム・ホーチミンの私立大学「越日工業大学」。石川県の金沢工業大学が設立に関わり、現在も連携を続ける教育機関だ。

祖父の影響で日本の技術力に憧れ

ヴォ・ミン・ティエンさん(22)は、この大学の工学部を卒業後、日本の大手派遣会社に採用され、3月下旬に来日を果たした。専門は自動車や機械の設計分野。東京で約3カ月間の研修を受けた後、夏から実際の製造現場で働き始める予定だ。

ティエンさんが日本のものづくりに強い憧れを抱くようになったのは、整備士だった祖父の影響が大きい。ベトナムではバイクそのものが「ホンダ」と呼ばれるほど、同社の製品が広く普及している。祖父は「修理をしなくても一生使える」と日本の技術力を称賛していたという。

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「その日本で働きたい」という強い思いから、ティエンさんは授業以外に毎日3〜4時間の勉強を継続。見事に日本語能力試験の最難関レベルである「N1」を取得した。2024年には大学のカリキュラムの一環として、日本で半年間にわたる整備士としてのインターンシップに参加。組み立てやすく設計された日本のエンジンの精巧さを実際に体験し、感銘を受けた。

自らの力で就職先を見つける

ティエンさんは複数のジョブフェアに足を運び、送り出し機関を介さずにインターネットで情報を収集。自らの力で現在の就職先を見つけ出した。日本の大学新卒者と同等の初任給が支給されるが、就労の主な目的はベトナムの家族への送金ではないという。

「親が望んでいるのは私の自立です。仕送りをしても受け取らないと思います」と語るティエンさん。父親は車の部品販売やレンタカー事業を手がけており、経済的に困窮している状況ではない。

高度な技術を求める若者の日本志向

円安の影響などでベトナムから日本への労働移動が鈍化する一方で、高い技術力や専門性を求める若者たちは依然として日本を目指し続けている。その多くが利用するのが、エンジニアやマーケティング、通訳などのスキルを活かして働く「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)の在留資格だ。ティエンさんもこの資格を取得している。

技人国資格については、受け入れ先が専門外の単純労働に従事させるなど、制度上の課題が指摘されている。しかし、この資格で日本に来る外国人は増加の一途をたどっている。給与待遇だけでなく、在留期間の更新に制限がない点などがその理由として挙げられる。

国籍別では中国に次いで2番目に多いベトナム人は、昨年10月末時点で11万2千人が在留。2020年10月末の5万4千人からわずか5年で倍増する急成長を見せている。

多様な人材が集まる日本の現場

派遣会社の東京での研修では、ティエンさんと同じ期にタイ人、韓国人、中国人など多様な国籍の研修生が集まった。幹部は挨拶で「日本は高齢化が進んでいます。外国の方々の力もお借りしていきたい」と述べ、外国人材への期待を表明した。

外国人の受け入れ態勢を見直す育成就労制度の開始まであと1年。人手不足に直面する日本では、人材を海外に求める動きがさらに加速していくことが予想される。

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