福祉ビジネス化の実態:障害者就労支援で一部事業者が加算金狙いの不正か
福祉ビジネス化の実態:障害者就労支援で不正疑惑

福祉ビジネス化の実態:障害者就労支援で一部事業者が加算金狙いの不正か

2026年3月、大阪・関西地域を中心に、障害者の就労継続支援A型事業所において、一部の事業者が福祉を「ビジネス化」し、国の加算金制度を悪用している実態が明らかになった。この問題は、障害者の自立支援という本来の目的から逸脱し、利益追求に走るケースが散見されるとして、社会福祉関係者から懸念の声が上がっている。

加算金を巡る不正の疑い

大阪市の絆ホールディングス傘下の四つのA型事業所では、年間100人から200人の利用者が就職し、半年間働いたとして多額の加算金を受給していた。これは特異な事例ではなく、他の事業所でも同様の傾向が確認されている。例えば、ある事業所が地元自治体に提出した2025年度の加算金申請書類によると、加算対象者は約80人に上り、そのうち8割が1年以内に離職したと記録されていた。元職員や元利用者への取材では、半年間の契約で就職した後、事業所の関連組織で働き、加算対象になった後に再び利用者に戻るケースもあったという。

真の支援を目指す事業所の取り組み

一方で、障害者の真の自立を支援する事業所も存在する。大阪府東大阪市のA型事業所「ワークワーク」では、知的障害のある約15人がリサイクル作業に従事し、職員の見守りの中で黙々と作業を進めている。利用者の一人である50歳の男性は、玉掛けの国家資格を取得し、「仕事は楽しい。もっと上手になりたい」と語り、やりがいを感じている様子が窺える。管理者の三木紀子さんは、「やりがいのある仕事があってこそ、障害者も活躍できる。どうなりたいかという気持ちを無視したやり方は、事業所のあり方ではない」と強調した。

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また、埼玉県越谷市で三つのA型事業所を運営する「スタラ」は、キャリアセンターを設置し、障害の特性に合わせた企業紹介や面接の助言を行っている。2025年度の加算対象者は1事業所あたり5、6人と控えめで、執行役員の池本拓弥さんは、「就職には知識やノウハウも必要。加算金は、こうした取り組みの原資とされるべきだ」と述べ、制度の適正な活用を訴えた。

専門家による指摘と対策の必要性

障害者雇用に詳しい九州産業大学の倉知延章名誉教授は、「多くのA型事業所は働きがいのある仕事を提供し、障害者の自立を目指して支援している」と説明する一方で、「障害者福祉の制度は性善説に基づき厳格なルールがないため、その隙を突くように、一部の事業者が福祉を『ビジネス化』している」と指摘する。福祉事業所に支給される2025年度の国の予算は約1兆6000億円に上り、専門家によると、障害者福祉業界は「1兆円市場」と呼ばれることもある。

日本財団公益事業部の竹村利道シニアオフィサーは、「一部の事業所には、障害者をどう利用するかという視点しかない。福祉に携わる人の意識を高めるため、制度の見直しが求められる。事業所職員の要件厳格化や、第三者機関による加算金申請のチェックが必要だ」と提言した。大阪市では、絆ホールディングス傘下とは別の34事業所でも加算金の過大受給疑惑があり、市が調査を進めている。

この問題は、障害者が働く喜びを感じ、就職へのステップを目指せる本来のA型事業所のあり方を見直す契機となり、社会全体での議論が期待されている。

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