佐賀の有田・吉野ケ里町長選告示 ハラスメント問題の現職2人が再出馬へ
佐賀の有田・吉野ケ里町長選告示 ハラスメント現職出馬

ハラスメント問題を抱える現職が再出馬 佐賀の有田・吉野ケ里町長選が告示

佐賀県の有田町と吉野ケ里町で、町長選挙が2026年4月7日に告示された。注目すべきは、いずれの選挙でもハラスメント行為が問題となった現職町長が立候補している点だ。有田町では出張先でのセクハラが判明し辞意を表明した現職が撤回、吉野ケ里町では部下への発言が第三者調査委員会からパワハラ認定された現職が「町民の審判を仰ぐ」と出馬を決断した。

有田町長選:4人が無所属で立候補 窯業と教育が争点に

有田町長選には、3選を目指す現職の松尾佳昭氏(52)と、新顔の元町財政課長・鷲尾佳英氏(60)、学習塾経営・本土源太郎氏(51)、理容業・栗原繁氏(74)の計4氏が無所属で立候補した。窯業を中心とする産業と観光の振興策、少子化に伴う中学校の統合問題が主な争点となりそうだ。

松尾氏は「町長、町議の20年を礎に、未来へ八つのテーマを挙げた」とし、福祉や農業力、教育力の向上を目指す。鷲尾氏は「世代を超えて未来に誇れる町へ」をキャッチフレーズに、安心して暮らせる町づくりなど四つの軸を掲げた。本土氏は「8年間、種をまき、これから収穫。遅すぎませんか」と現職を批判し、教育の充実などを訴える。栗原氏は「行財政の改革が旗印」とし、町の人件費2割カットや中学校統合による新校舎建設反対をアピールしている。

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町議選(定数15)も同日に告示され、16人が立候補した。投開票は12日で、期日前投票は8~11日に町役場町民ロビーなどで実施される。6日現在の選挙人名簿登録者数は1万5346人である。

吉野ケ里町長選:行政のあり方に焦点 新顔と現職が激突

吉野ケ里町長選には、新顔で経営コンサルタント業の中堀博智氏(39)、3選を目指す現職の伊東健吾氏(78)、新顔の前町議・生島信一郎氏(42)と鶴恵美子氏(51)の計4氏が無所属で立候補した。昨年、伊東氏の発言の一部がパワハラと認定されたこともあり、子育てや地域振興に加え、行政のあり方についての議論も焦点となりそうだ。

中堀氏は「しがらみのなさ」をアピールし、「行政改革とAI活用」「吉野ケ里のブランド化」などを掲げる。伊東氏は「町づくりの基盤を着実に整備できた」と2期8年の実績を主張し、AIを活用した行政効率化などを訴える。生島氏は「子育てがしやすいまち」「消費者も農家も手を取り合える農政」「町民を向いた行政」などを柱に据える。鶴氏は「対話からはじまるまちづくり」を前面に出し、「町役場のハラスメントを許さない職場づくり」などを訴えている。

町議選(定数12)も7日に告示され、14人が立候補した。投開票は12日で、期日前投票は8~11日に町中央公民館で行われる。6日現在の選挙人名簿登録者数は1万3089人である。

ハラスメント問題を巡る現職の対応と町民の声

有田町では、出張先の接待の宴席で飲食店従業員にセクハラ行為をしたとして、現職の松尾佳昭氏が昨年12月に辞意を表明しながら撤回した。給与3.5カ月分(約270万円)を全額カットした上で任期満了(4月15日)まで2期目を全うするとしていたが、町議会からは公務を自粛するよう異例の要請が出されていた。

松尾氏は3月、「(リーダーとしての)資質としてはもうバツがついたと思う。もう一度皆さんにご理解が届くかどうかはわからないが、日頃の私を見てもらい判断いただければ」などと話し、立候補を表明した。セクハラ行為が発覚後、これまでの後援会組織は解散し、3月に学生時代の仲間などで新しい後援会が発足した。松尾氏を長年応援してきたという80代の女性は「たたかれたから、味が出るというか力を出せることもある」と語った。

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吉野ケ里町では、課長級職員の男性が現職の伊東健吾氏からパワーハラスメントを受けたと訴え、その後死亡した問題を巡り、昨年9月に弁護士3人による第三者調査委員会が調査報告書を出した。2024年、男性が財源の問題から施設建設事業推進に慎重な発言をしたことに対し、伊東氏が「7月代われ」「建設課長にいっそ代わればいいだろう」などと発言したことをパワハラと認定する内容だった。男性は休職中の24年11月に死亡している。

伊東氏は、調査報告を受け、自身の給料を3カ月間20%減額とした。昨年12月の町議会で進退を問われると、伊東氏はパワハラとされた行為について「もうちょっと配慮があったらよかった」と釈明。その上で、「もう1回、住民の方に審査していただくことが大事だ。ここで辞めたら、パワハラで辞めたということをずっと背負って生きなくちゃいけない。それだけはしたくない」と述べ、立候補の意向を示していた。

町長選を巡っては、有田町の70代男性の陶器店店主が「町に若い人が少なく、年々、厳しくなっている。どの候補もいいことばかり話して同じに聞こえる」と語るなど、有権者の関心は高い。両町とも、投開票日である12日に向けて、活発な選挙戦が展開される見込みだ。