維新・柏倉祐司氏が大健闘で復活当選 保守層の反船田票を獲得
宇都宮市内の事務所で支持者と当選を喜び合ってから約6時間後の9日午前7時頃、JR宇都宮駅西口の交差点では、日本維新の会のイメージカラーである緑色のジャンパーを着た柏倉祐司氏が、白い息を吐きながら道行く人に挨拶をしていた。恒例のつじ立ちを行う柏倉氏は、11年余りの「浪人」生活の中で、医師として多忙な日々を送りながらも、平日朝のこの活動を欠かさなかった。この日は約2時間の仮眠で臨んだが、「習慣だから、つらいというより、やらないと落ち着かない」と笑いながら語った。
長い浪人生活を経ての復活劇
柏倉氏の衆院選初挑戦は2012年で、みんなの党から栃木2区に出馬し、比例復活当選を果たして衆院議員を1期務めた。その後は栃木1区に移り、民主党、希望の党、維新と渡り歩きながら4度挑戦したが、いずれも落選していた。今回の選挙も、維新が連立与党となったものの、本拠地の大阪以外では埋没感が否めず、大きな期待は寄せられていなかった。さらに、与党間での選挙協力は行われず、自民党ベテランの船田元氏と競合することになった。陣営は選挙戦序盤から「いつも通りの厳しい戦いだ」との認識でいたが、地道な活動を続けた。
結果は大健闘だった。柏倉氏は4万1233票を獲得し、惜敗率は約48%に達した。2位の中道改革連合候補とは約4000票しか離れておらず、比例北関東ブロックの党候補の中でダントツの惜敗率で、楽々復活当選を果たした。この復活劇について柏倉氏は「自分の力ではなく運や構図が原因だ」と冷静な見方を示している。
高市首相支持で反船田票を集める
柏倉氏は選挙戦を通じて、高市首相への支持を一貫してアピールし続けた。対抗する自民党の船田氏は党内でも高市首相と距離がある「党内野党」の立場で知られており、柏倉氏の愚直な訴えは、結果的に保守層に根強く存在する「反船田票」を集めることにつながった。陣営幹部は「地道に浸透を図ってきたからこそ与党候補の選択肢となり得た」と満足げに語った。
参政党は支持を伸ばすも旋風には至らず
3日午後、参政党の神谷代表がJR宇都宮駅西口のペデストリアンデッキに立つと、聴衆の視線が一斉に集まった。冷たい風が吹く中、「イチ、ニ、参政党」のコールが叫ばれ、高揚感に包まれた。しかし、昨年の参院選時に行われた街頭演説と比較すると、景色は少し違っていた。当時はデッキを埋め尽くす人で地面が見えず、「熱波」とも言える空気感だったが、今回は熱心な支持者による「集会」のような落ち着いた雰囲気が漂った。
全国的にみると、参政党は前回選から躍進したものの、参院選のような旋風を巻き起こすことはできなかった。しかし、党勢は確実に伸びている。県内全体では比例選で約7万票を獲得し、24年衆院選時の約3倍に伸長した。県内5選挙区のうち4選挙区に候補を擁立し、準備期間がほとんどなかった候補者が多い中、各選挙区で2万票前後を積み上げた。「高市人気による保守層への自民回帰」が指摘される中、県内で一定の支持基盤が形成されつつあることを示した。県連会長で宇都宮市議の河田敦史氏は「確かな前進」と総括した。
国民民主党は苦戦 従来型選挙に限界
「厳しい結果になってしまった」。8日深夜、自民前議員・茂木敏充氏の得票数11万票超という圧倒的な強さを前に、国民民主党の寺田和史氏は謝罪の言葉を繰り返した。国民民主党が県内選挙区で国政選の候補者を擁立するのは初めてで、結果は1万9626票で、目標の2万3000票には届かなかった。比例票をみても、24年の前回選から2283票の上積みにとどまった。
寺田氏は選挙期間中、駅前でのつじ立ちや商業施設前での街頭演説といった従来型の選挙を展開し、連合栃木が手取り足取りで支えた。しかし、国民民主党はSNSでのショート動画を駆使し存在感を高めてきた。寺田氏は演出家の肩書を持ち、本業はネットの世界を主戦場としており、著名ユーチューバーの知己もいる。寺田氏は「地に足の着いた活動を柱としていた。(超短期決戦で)SNS、メディア、有名人を使うことを封印していたというよりは、使う余裕がなかった」と振り返った。