中東情勢の緊迫が長期化する中で、これに対応するための今年度補正予算が5日、成立した。総額は3兆円強であり、近年10兆円を超えていた補正予算と比較すると、規模としては大きくない。しかし、問題の本質は総額の大きさだけではなく、より根本的な財政民主主義の原理が危機に直面している点にある。
参院予算委での質疑
参院予算委員会では、立憲民主党の岸真紀子氏が質問に立ち、高市早苗首相が答弁を行った。この場面は、6月5日午前9時33分に撮影されたものである。
財政法と均衡財政主義
財政法は、歳出を原則として税金などの収入の範囲内に抑える均衡財政主義を定めている。しかし、1960年代以降、赤字財政は常態化してきた。
さらに近年では、均衡財政だけでなく、国民の代表である国会議員が予算の使い道を決定するという近代議会の大原則までもが危うくなっている。
予備費の乱用
その一例が、財政民主主義の例外として認められている予備費の乱用である。予備費は、使い道を政府の判断で決定できる。今回の補正予算でも、その大部分が予備費の積み増しに充てられた。
世界の不確実性が高まる中で、予想外の事態に対応するための予備費の必要性は否定できない。しかし、予備費はやむを得ない事態に限定して使用されるべきであり、補正予算を審議可能な国会会期中に使用することは、政府内で「御法度」とされてきた。しかし、今回の衆参両院での審議はわずか1日だけだった。
コロナ禍を機に、このような傾向が顕著になっている。財政民主主義の原則が軽視され、予算審議の形骸化が進むことで、民主主義の根幹が揺らぎかねない。高市政権の下で、財政ルールが変えられつつあることの危うさを指摘せずにはいられない。



