高市政権が公約に掲げる「安全保障関連3文書」の年内改定に向けた議論が本格化しています。安保3文書はどのような文書で、高市政権は何を目指そうとしているのでしょうか。
Q:安保3文書とは、どういうもの?
A:日本が取り組む外交・安全保障政策の基本的な方針となる三つの文書を指します。今後10年程度を見据えた外交や防衛政策の基本方針を示す「国家安全保障戦略」、今後10年間の防衛力強化の目標を示す「国家防衛戦略」、そして今後5年間で整備する戦闘機や護衛艦といった主な装備品や必要な予算を定める「防衛力整備計画」から構成されます。
Q:いつ、つくられた?
A:国家安全保障戦略は第2次安倍政権が2013年に初めて策定しました。米国では政権ごとに国際情勢への認識や達成すべき目標を示す国家安保戦略を作成しており、それに倣ったものです。安倍政権は同時に、外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議(日本版NSC)」も設置しました。
Q:内容はどうだったのか?
中国の軍事的な台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、米国をはじめとする関係国と連携し、国際社会の平和と安定に積極的に寄与するとして、「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を基本理念に掲げ、防衛力の着実な整備や日米同盟の強化などを柱としました。
その後、安倍政権は、日本が攻められていなくても、米国などが攻撃された時に一緒に戦える「集団的自衛権行使」の一部容認に道を開いた安全保障法制の整備や、武器の輸出を原則禁止していた武器輸出三原則を撤廃し、条件付きで容認する「防衛装備移転三原則」を策定するなど、安保3文書にある防衛力強化の方向性をさらに強めるような政策を打ち出しました。
Q:いまの3文書は、いつつくられた?
岸田政権が2022年に見直したものです。中国や北朝鮮、ロシアによる核兵器やミサイルの増強などで、安全保障環境は厳しさを増していると指摘。相手のミサイル発射拠点などをたたく敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つ必要があると明記しました。防衛費を国内総生産(GDP)比で2%に増やす目標も示しています。敵基地攻撃に使うミサイルの確保やドローン(無人機)の活用、宇宙・サイバーといった新しい分野での対応強化も掲げました。
Q:なぜ今、3文書を見直すのか?
高市政権は、2022年の改定から数年が経過し、国際情勢がさらに変化していることを踏まえ、新たな安全保障環境に対応するため見直しを進めています。特に、中国の軍事活動の活発化、北朝鮮の核・ミサイル開発の加速、ロシアのウクライナ侵攻による国際秩序の揺らぎなどが背景にあります。高市首相は、より実効性の高い防衛力の構築と、日米同盟の一層の強化を目指しています。また、武器輸出の全面解禁や非核三原則の見直しなど、従来の枠組みを超える議論も浮上しており、年内の改定に向けて注目が集まっています。



