静岡県は10日、政府が防衛力強化の一環で進める「特定利用空港」の対象に、富士山静岡空港(牧之原市)を追加するよう国から打診があったと明らかにした。これまで同空港では自衛隊の輸送機訓練が年に1~2回行われていたが、新たに指定されれば戦闘機の離着陸訓練も定期的に実施される見通しだ。県は周辺自治体や住民の意見を聞きながら、受け入れの可否を判断する方針である。
特定利用空港の概要と目的
特定利用空港は、自衛隊と海上保安庁が弾道ミサイルへの対処や災害時の救援部隊派遣など、「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」に使用することを想定した枠組みだ。武力攻撃事態などの有事利用は対象外とされている。平時の訓練としては、戦闘機の離着陸に加え、輸送機による国民保護訓練や災害対応、人命救助訓練を年に数回実施する計画だ。また、日米共同訓練での自衛隊利用は可能だが、米軍による直接利用は想定していない。
打診の経緯と今後のスケジュール
県によると、5月27日に国から静岡県、牧之原市、島田市、吉田町に対して打診があった。県が受け入れを決めた場合、政府は自治体や施設管理者の同意を得た上で正式に指定する。国は12月上旬ごろまでの回答を求めている。国はメリットとして、「平時の訓練を通じて自衛隊や海上保安庁が空港の特性を熟知することで、災害時にもより安全に部隊や物資を展開できるようになる」と説明している。一方、戦闘機の飛来による騒音の懸念については、「影響が最小限となるよう努める」としている。
既存の指定状況と地域の反応
特定利用空港は2024年に設けられた制度で、現在全国で24カ所が指定されている。東海地方では、中部国際空港(愛知県常滑市)が今年4月に追加された。愛知県では市民団体から「軍事利用されれば攻撃の対象になりかねない」と懸念の声が上がり、防衛省に対して指定撤回を求める申し入れが行われている。静岡県でも同様の議論が予想される。



