安保3文書改定で変わる日本の平和国家像 知っておくべきポイント
安保3文書改定で変わる日本の平和国家像 ポイント

連載:そもそも解説

高市政権は年末に向けて「安全保障関連3文書」の改定作業を本格化させています。議論の進み方次第では、戦後日本の平和国家のあり方が大きく変わることになります。知っておくべきポイントを紹介します。

安保3文書改定のポイント

  • ①安保3文書とは
  • ②最初の文書の内容は
  • ③いまの文書の特徴は
  • ④なぜ見直すのか
  • ⑤見直しの焦点は

①安保3文書とは

今後10年程度を見すえた外交や防衛政策の基本方針となる「国家安全保障戦略」、今後10年間の防衛力強化の目標を示す「国家防衛戦略」、今後5年間で整備する戦闘機といった装備品や予算を定める「防衛力整備計画」の三つの文書からなります。

国家安全保障戦略は安倍政権が2013年に初めて策定しました。米国では政権ごとに国家安保戦略を策定しており、それにならったものです。岸田政権下の2022年、国家防衛戦略はそれまでの「防衛計画の大綱(防衛大綱)」から、防衛力整備計画は「中期防衛力整備計画(中期防)」から名称を変更する形で作られました。

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②最初の文書の内容は

安倍政権が定めた国家安全保障戦略は、「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を掲げました。中国の軍事的な台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発など安全保障環境が厳しさを増す中、米国をはじめとする関係国と連携し、国際社会の平和と安定に積極的に寄与する考え方です。防衛力の着実な整備や日米同盟の強化などを柱に据えました。

その後、安倍政権は2015年、日本が攻められていなくても米国などが攻撃された時に一緒に戦える「集団的自衛権」の一部容認に道を開く安全保障法制を成立させています。

③いまの文書の特徴は

岸田政権が2022年に見直した安保3文書では、防衛力の抜本的な強化が打ち出されました。2023年度から2027年度までの防衛費総額を約43兆円とし、GDP比2%を目標とするなど、従来の水準を大きく上回る予算配分が特徴です。また、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記し、防衛政策の転換点となりました。

④なぜ見直すのか

高市政権は、安全保障環境のさらなる厳しさを理由に改定を進めています。中国の軍事力増強や北朝鮮の核・ミサイル開発の加速、ロシアのウクライナ侵攻など、国際秩序の変化に対応する必要があるとしています。また、トランプ米大統領の再選を受けて、日米同盟の在り方や負担分担の見直しも議論されているとみられます。

⑤見直しの焦点は

改定の焦点は、防衛費のさらなる増額と財源確保です。自民党内では、防衛費をGDP比3%以上に引き上げるべきとの意見も出ています。また、非核三原則の見直しや、核共有(Nuclear Sharing)の議論も浮上しており、日本の安全保障政策の根本的な転換につながる可能性があります。さらに、防衛装備品の輸出促進や、サイバー・宇宙領域での防衛力強化も重要な論点となっています。

高市首相は、強いリーダーシップで改定を推進するとみられますが、与党内や野党、世論の反応も注目されます。今後の議論の行方次第では、戦後日本の平和国家の基盤が大きく揺らぐことになるでしょう。

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