長崎中国総領事館が観桜会を中止 日中関係の影響懸念
在長崎中国総領事館(陳泳総領事)は、例年春に地域住民や首長らを招いて開催してきた恒例の「観桜会」を、今年は開催しないことを決定した。総領事館は2月末に長崎県などに対し、開催を見送る旨を電子メールで通知している。
「さまざまな状況を判断」 担当者が中止理由を説明
総領事館の担当者は3月10日、朝日新聞の取材に対し、開催中止の理由について「さまざまな状況を含めて判断した」と説明した。具体的な状況については言及を避けたが、長崎県国際課には2月末に電子メールで見送りの連絡があったという。
この決定には、高市早苗首相の昨年の台湾有事をめぐる国会答弁をきっかけとした日中関係のぎくしゃくが影響した可能性が指摘されている。近年、日中交流行事のドタキャンが相次いでおり、今回の観桜会中止もその一環と見る関係者もいる。
歴史ある交流行事 過去にはコロナ禍でも中止
長崎県には歴史的な交易の窓口として、1985年に中国総領事館が設置された。日中友好団体などによって敷地内の庭園にはソメイヨシノ、シダレザクラ、オオシマザクラなどが植樹されており、春には美しい花を咲かせる。
観桜会は2013年から始まり、毎年春に地域住民や知事、首長らが招待され、サクラの花の下で中国の舞踊などを楽しむ交流の場となってきた。しかし、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で開催が見送られた経緯がある。
昨年3月29日には観桜会が開催され、参加者たちがサクラの花を楽しむ様子が確認されている。総領事館の庭園は地域にとって重要な日中友好の象徴であり、今回の中止決定は地元関係者に困惑を広げている。
広がる日中交流行事への影響
観桜会の中止は、長崎に限った現象ではない。最近では名古屋の中国春節祭が延期されたり、在大阪中国総領事が恒例の新春互礼会を欠席したりするなど、日中関係の悪化が民間交流に影を落としている。
一方で、長崎では中国人墓地のボランティア清掃に中国総領事が参加するなど、民間レベルの交流継続の動きも見られる。関係者からは「こんな時こそ交流を続けるべきだ」との声も上がっており、今後の日中関係の行方が注目される。



