散策するように言葉と出会う、那須塩原市図書館みるるの魅力
散策するように言葉と出会う、那須塩原市図書館みるる

散策するように、言葉と出会う 栃木県那須塩原市図書館「みるる」

図書館司書の資格を持つ東京新聞の谷野哲郎記者が、おすすめの場所と本を紹介する連載「司書記者の旅をする本棚」。今回は、栃木県那須塩原市にある図書館「みるる」を訪れました。

言葉の彫刻が誘う、知の迷宮

本棚に掲げられた文字が、訪れる人の好奇心を刺激します。くるりと回転したり、交差したり、直線的に流れたり。気づけば、言葉を目で追っている自分がいます。この「言葉の彫刻」は、ブックディレクターの幅允孝氏による空間演出です。

図書館は2020年に開館した人気施設。1階には館内を縦断する通路があり、人々が会話しながら自由に行き交います。2階は森を思わせる木の屋根の下で、落ち着いて読書や勉強ができます。スタイリッシュな建築は伊藤麻理さんの設計で、2021年度グッドデザイン賞など数多くの賞を受賞しました。館長の物井友和さん(48)は「おかげさまで毎年来館者は増えており、令和7年度は約43万人の方にご利用いただきました」と微笑みます。

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「知のストック」を広げるマルチメディア・プレイス

コンセプトは「知のストックと読書の幅を広げるマルチメディア・プレイス」。約18万冊の蔵書もさることながら、気になるのはあちこちに飾られた謎の言葉たちです。例えば、音楽関連の本棚には「あらゆる音に対して開かれた耳には、すべてが音楽的に聞こえるはずです」というアメリカの実験的音楽家ジョン・ケージの言葉が。他の本棚にも詩人や作家、漫画家の名言や台詞が巧みに飾られ、見るだけで何かを連想できる仕組みになっています。どこに誰のどんな言葉があるのか、調べてみるのも面白いでしょう。

幅さんは自著「差し出し方の教室」の中で、「気がついたら知らない間に読んでいた、という状況をどうやったらつくれるのか」と記しています。よく見ると、他にも意識せずに人を楽しませる仕掛けがたくさんあります。「『みるるスタイル』といって、美しく本を並べる独自のルールを作ったり、一部を飲食自由にして、音楽を流したり、心地よく過ごせるアイデアを詰め込んでいます」と物井さん。努力と知恵を惜しまない姿勢に好感が持てました。

散策するように、新たな言葉との出会いを

1階に行き、散策するように館内を歩いてみました。壁に目をやると、あ、ここは藤本タツキさんの漫画「ルックバック」の一節だ。次の棚には何があるのだろう。新しい出会いの予感に胸が高鳴ります。

この1冊とともに

幅允孝「差し出し方の教室」弘文堂、3190円

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那須塩原市図書館 みるる

  • 住所:栃木県那須塩原市本町1の1
  • JR黒磯駅から徒歩1分
  • 電話:0287(63)9031
  • 開館:午前10時~午後9時(土日祝日は午後6時まで)
  • 休館:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)