銃失った7年、最高裁で逆転勝訴 箱わなでヒグマ16頭駆除のハンター
銃失った7年、最高裁で逆転勝訴 ヒグマ駆除ハンター (27.03.2026)

銃を失って7年、最高裁で逆転勝訴を勝ち取ったハンターの闘い

「長かった。銃が戻って来たら、また猟に行きたい」。砂川市の池上治男さん(77)は、最高裁判決を前にそう語っていた。2018年、ライフル銃でヒグマを駆除した際、建物に向けて発砲したとの理由で銃の所持許可を取り消されてから、実に7年の歳月が流れていた。

違法と判断された許可取り消し

池上さんは砂川市の要請に応じてヒグマ駆除を行ったが、その行為が原因で銃の所持許可を取り消されるという事態に直面した。しかし、この決定は最高裁において「違法」と判断され、池上さんは逆転勝訴を勝ち取ったのである。

銃を失った7年間、池上さんは決して諦めなかった。昨年だけでも箱わなを用いてヒグマ16頭を駆除するという驚異的な実績を残している。その背景には、農家を守りたいという強い使命感があった。

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農家を救うハンターの日々

雪に覆われた12月、池上さんは砂川市内の農園でシカの食害に悩む農家の男性と話していた。「シカはあっちの茂みからここを通る。この辺にくくりわなを仕掛ければとれる」と、的確なアドバイスを送る。

リンゴの果樹園では、樹皮がシカに食い荒らされ、農家の苦労が水の泡になりかねない状況が続いていた。池上さんが仕掛けたわなには、立派な角を持つ雄ジカが次々とかかり、農家は「池上さんがいなければリンゴは廃業だった。助かった」と感謝の言葉を述べた。

捕鯨船からハンターへ 異色の経歴

池上さんは北大水産学部を卒業後、水産会社に就職。捕鯨船に乗りクジラを追う日々を送っていたが、ふるさとの山が恋しくなり、脱サラしてIターンを決断。学習塾を経営する傍ら、獣害に悩む農家の姿を見て、人助けがしたいとハンターの道を選んだ。

「農家の収穫は1年に1回だけ。それをシカに食われたらやり切れないだろ」という言葉に、農家への深い思いやりがにじむ。

日課となった見回り活動

日の出とともに、「北海道鳥獣保護員」のステッカーが貼られた車で見回りに出るのが池上さんの日課だ。砂川市、上砂川町、歌志内市、奈井江町。猟友会砂川支部管内の山里は、まさに池上さんの庭のようなものだ。

毎朝散歩する老人を見つけて声をかけ、地域の様子を細かく把握する。そんな地道な活動が、効果的な獣害対策につながっている。

最高裁勝訴後の新たな決意

7年ぶりに銃の所持許可が回復する見通しとなった今、池上さんは再び猟場に立つ日を心待ちにしている。しかし、箱わなによる駆除で培った技術と経験は、銃がなくても確かな成果を上げられることを証明した。

ヒグマ被害が相次ぐ北海道において、池上さんのような経験豊富なハンターの存在は地域にとってかけがえのない財産だ。最高裁での勝訴は、単なる個人の勝利ではなく、適切な獣害対策を求める地域全体の願いが反映された結果と言えるだろう。

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