中国衛星「遥感」が日本上空を高頻度で通過、自衛隊・米軍基地を監視か
読売新聞が米宇宙軍の公開データを基に分析した結果、中国が偵察用に運用していると指摘される人工衛星群「遥感(ヤオガン)」が、日本上空を約10分に1回通過していることが判明した。この衛星群は、自衛隊や米軍の基地周辺の上空でも特に高頻度で周回しており、日本政府はその動きを把握し、警戒を強めている。
衛星群の動きを詳細に分析
読売新聞は、宇宙工学の専門家や民間会社の協力を得て、米宇宙軍の人工衛星追跡サイト「スペーストラック」のデータを用いて遥感の動きを解析した。2025年12月時点で確認された約160基のうち、過去3年間に高度修正の動きがあった約80基を稼働中とみなし、コンピューター上で立体再現を行った。
その結果、遥感は日本や台湾を含む北緯35度から南緯35度の範囲を重点的に周回しており、複数の衛星が次々に飛来することで、日本上空を約10分おきに通過していた。具体的には、神奈川県横須賀市や長崎県佐世保市、沖縄県の自衛隊・米軍基地上空、さらに台湾や南シナ海、米軍基地がある米領グアムの上空も通過していた。
基地周辺での集中的な監視活動
12月下旬の約1週間にわたる軌道解析では、米海軍横須賀基地周辺の上空を1日平均約60回通過していた。特に正午までの2時間には9基が同基地上空を通過し、そのうち4基がほぼ同時刻に通過した日もあった。このような高頻度の通過は、日米の部隊配備状況が中国側にほぼ常時把握されている可能性を示唆している。
航空自衛隊の元幹部は、「日米の動きを監視する能力を中国が強化しようとしている」と指摘。別の元幹部も、「米軍に追随する監視体制を構築している」との見方を示した。日本政府は、台湾有事などの際に日米の動きを把握する目的で遥感が運用されているとみて、対応を検討している。
遥感の性能と背景
遥感は中国が2006年から打ち上げている人工衛星で、光学衛星やシギント(通信情報分析)衛星が含まれるとされる。大部分は低軌道を周回しており、米議会報告書によれば、静止軌道にある遥感は「自動車サイズの物体を識別できる」可能性があるという。この高度な監視能力が、日本や米軍基地への頻繁な接近を可能にしているとみられる。
今回の分析は、中国の宇宙活動が安全保障上の脅威となり得ることを浮き彫りにしており、日本政府はさらなる情報収集と防衛策の強化を迫られている。国際社会でも、衛星を利用した監視活動の拡大が懸念材料として注目を集めている。



