イラン国会でNPT脱退議論が活発化、核施設攻撃とIAEAへの不満が背景
米国とイスラエルによるイランの核施設への攻撃が続く中、イラン国会では核拡散防止条約(NPT)からの脱退をめぐる議論が再び活発化しています。保守強硬派の議員が脱退の検討を明らかにし、国際原子力機関(IAEA)への不満も表明。核兵器を保有しない基本政策は維持する方針ですが、脱退議論が進めば国際的な疑惑が強まり、中東地域の緊張がさらに高まる恐れがあります。
核施設への攻撃と国会での脱退検討
米国とイスラエルは昨年6月以降、イラン中部ナタンツのウラン濃縮施設を破壊したほか、西部アラクの重水炉や中部ヤズドの核燃料原料生産施設を攻撃。南部ブシェール原子力発電所の敷地にも少なくとも3度、飛翔体が落下しています。こうした状況を受け、イラン国会では保守強硬派の重鎮であるエスマイル・コウサリ議員が、NPT脱退の利益と不利益について検討が行われていると述べ、脱退が現実的に検討されていることを明らかにしました。最高安全保障委員会との調整も進められているとされています。
NPT脱退論の背景と国際的な不平等感
国会でのNPT脱退論は昨年9月、国連の対イラン制裁が復活した際にも浮上しました。主な理由として、NPTが規定する原子力の平和利用の権利が尊重されていない点が挙げられています。さらに、NPTで核兵器保有国と認められている米国や、NPT未加盟で核兵器を保有しているとされるイスラエルが、核兵器保有を否定するイランの核武装を疑い、核施設を攻撃していることへの不平等感も背景にあります。外務省報道官は3月30日の記者会見で、「NPTに加盟しても攻撃や不条理にさらされるなら、何の恩恵があるのか」と指摘し、IAEAが核施設攻撃に対して反対も批判もしていないと訴えました。
今後の展開と国際社会への影響
NPT脱退の議論の行方は現時点では不透明ですが、イランでは過去に高濃縮ウランの生産やIAEAへの協力凍結などの対抗措置が、国会の法制定を経て実行されてきた経緯があります。今後の国会での議論の展開が注目されます。脱退が現実化すれば、国際的な核不拡散体制に大きな打撃を与え、中東地域の紛争再燃の火種を残す可能性も否定できません。軍事衝突が終了してもイスラエルの危機感は薄れず、地域全体の安定が脅かされる懸念が高まっています。



