米国イラン攻撃決定の舞台裏 トランプ氏の直感に従う政権幹部
米紙ニューヨーク・タイムズは7日、米国が対イラン軍事作戦に踏み切るまでの詳細な経緯を報じた。報道によると、トランプ大統領はイスラエルの説得で攻撃に傾き、政権内で明確に反対を訴えたのはバンス副大統領のみだったという。同紙は「ほぼ全員が大統領の直感に従った」と指摘している。
ネタニヤフ首相の直接説得と異例のシチュエーションルーム訪問
2月11日、トランプ大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相をホワイトハウスのシチュエーションルーム(戦況報告室)に招き入れた。外国首脳の立ち入りは極めて異例な措置であり、この場でネタニヤフ氏はイラン攻撃に関する具体的なシナリオを提示した。
その内容は、数週間以内にイランのミサイル開発計画を完全に破壊し、ホルムズ海峡での航行の自由を確保した上で、民衆蜂起による新たな統治体制への移行を実現するというものだった。トランプ氏はこの提案に対し「良い案だ」と応じたとされる。
バンス副大統領の孤立した反対と政権内の動向
バンス副大統領は海外訪問中で不在だったが、後にトランプ氏が大統領選で「新たな戦争はしない」と公約していたことから、イラン攻撃は支持者への裏切り行為とみなされる恐れがあると訴えた。さらに、米軍の弾薬枯渇やホルムズ海峡の封鎖に伴うガソリン価格高騰などの懸念も直接伝えたという。
しかし、2月26日には「悪いアイデアだが、決断する場合は支持する」と表明し、最終的には圧倒的な軍事力行使による早期決着を主張した。これに対し、ヘグセス国防長官は最も前向きな姿勢を示し、「いずれはイランに対処しなければならない。いま実行すべきだ」との考えを表明した。
ルビオ国務長官は圧力強化を支持したものの、トランプ氏に翻意を迫ることはなかった。反対する動きは広がらず、政権内の意見はほぼ一致していた。
過去の成功体験がリスク軽視につながった可能性
同紙は、米軍が昨年6月にイランの核施設を空爆し、今年1月にはベネズエラの反米左派ニコラス・マドゥロ大統領を拘束したことを指摘。いずれも米側に死者が出なかったことが、イラン攻撃に伴うリスクの軽視につながったと分析している。
トランプ氏はこれらの成功体験で自信を深め、作戦が短期間で決着するとみていたという。政権幹部の多くが大統領の直感に従った背景には、こうした過去の実績が影響していた可能性が高い。



