イラン情勢に心を痛める静岡の登山家、半世紀の友情に暗雲
イランと日本を結ぶ草の根交流を半世紀にわたり続けてきた静岡県掛川市の登山家、影山淳さん(78)が、現在のイラン情勢を深く憂慮している。現地の友人に送った安否確認のメッセージに返信が届かず、連絡が途絶えた状態が続いている。
「生きてるか?」 返信のないメッセージ
影山さんは先日、スマートフォンの通信アプリを通じて、イラン北西部の都市タブリーズに住む友人から英文のメッセージを受け取った。その内容は、「飛行場と空軍が激しい攻撃を受けた」「学校も銀行もビジネスもクローズしている」という緊迫した状況を伝えるものだった。
すぐに「あなたの家族は早く自宅を出て逃げないといけない」と返信を送った影山さんだが、それ以降、友人の返事は一切ない。イラン国内ではインターネットが制限されているとみられ、連絡手段が絶たれている可能性が高い。
命の恩人との絆、草の根交流の歴史
影山さんは、シルクロードを自転車で走破した冒険家としても知られる。1972年、イランの山で滑落して大けがを負った際、現地の人々の救助や治療によって命をとりとめた経験を持つ。この出来事をきっかけに、イランと日本の登山家同士の交流を深め、個人で貿易会社を経営しながら、中東に製茶機や抹茶を輸出する縁も築いてきた。
「一つの街を抜けるとすぐ砂漠。国民は純朴で優しい。どこに行っても『今夜、自分の家に泊まれ』と言われた」と語る影山さんは、イランの国や国民性に好印象を抱いている。しかし、政治情勢については複雑な思いを抱える。
政治と友情の狭間で
影山さんによれば、現地の他の友人とその息子が今年1月、デモに参加して拘束されたという。最高指導者ハメネイ師の死亡で政治体制が変わることに「大方の国民が喜んでいる」と推察する一方で、国際情勢には批判的だ。
「トランプ米大統領がやっていることは、でたらめ。ロシアのプーチン大統領がウクライナを攻めているのと同じ」と心境を明かす。半世紀にわたる友情と、刻々と変わる政治状況の間で、影山さんの心は揺れ動いている。
現在も、イランの友人からの返信を待ち続ける日々が続いている。草の根交流の灯が消えないことを願いながら、静岡の地から遠く離れた戦況に思いを馳せている。



