26年越しの逮捕を経て遺族が決意新た 「宙の会」が総会開催
殺人事件被害者の遺族で構成される支援団体「宙(そら)の会」は、2026年3月7日に東京都千代田区で定期総会を開催しました。総会には複数の事件の遺族が参加し、長期にわたる捜査の現状と今後の活動方針について話し合いが行われました。
名古屋事件の遺族が活動継続を呼びかけ
総会後の記者会見では、1999年11月に名古屋市西区で発生した女性殺害事件の遺族である高羽悟さん(69)が出席しました。高羽さんは、妻の奈美子さん(当時32歳)が自宅アパートで亡くなっているのを発見されてから26年が経過した現在でも、他の遺族に向けて強いメッセージを発信しました。
「多くの会員の方々は、捜査の進展が感じられない現実に直面していると思います。しかし、諦めない気持ちで活動を続けてほしいと伝えたいのです」と高羽さんは述べ、遺族同士の連帯の重要性を強調しました。
26年後の逮捕と起訴の経緯
高羽奈美子さん殺害事件では、2025年10月に愛知県警察が安福久美子被告(69歳)を殺人の疑いで逮捕しました。その後、鑑定留置を経て、名古屋地方検察庁が2026年3月5日に殺人罪で正式に起訴しています。この逮捕は事件発生から実に26年後の出来事であり、刑事司法の長い道のりを象徴する事例となりました。
時効撤廃の成果と新たな課題
宙の会は設立当初、殺人事件の公訴時効制度の撤廃を主要な目的として活動を展開してきました。その努力が実り、現在では殺人事件の公訴時効は廃止されています。高羽さんは代表幹事として会を牽引してきた立場から、「時効撤廃の恩恵にあずかってしまったという点では恐縮していますが、他の被害者遺族にも同じ恩恵が及ぶことを願っています」と語りました。
遺族の切実な思いと法改正への取り組み
総会には、1996年に上智大学の学生だった娘の小林順子さん(当時21歳)を亡くした小林賢二さん(79歳)も参加しました。小林さんは会長として、「各遺族の気持ちは共通しており、『次は我が家の事件が解決する番だ』という一言に尽きます」と述べ、未解決事件への切実な思いを表明しました。
さらに同会は、長期未解決の殺人事件における加害者に対する損害賠償請求権の拡大を求める法改正を訴える意見書をまとめました。現行の民法では、不法行為から20年が経過すると損害賠償を求める権利が消滅しますが、この期間の延長を求める内容となっています。意見書は高市早苗首相をはじめとする関係者に送付される予定です。
今後の法的対応と活動方針
記者会見後、高羽さんの代理人弁護士は報道陣に対し、早ければ2026年3月中にも、高羽さんが安福被告を相手取って損害賠償請求訴訟を提起する方針であることを明らかにしました。これは、刑事裁判とは別に、民事面での責任追及を進める重要な一歩となります。
宙の会は、殺人事件被害者遺族の支援を継続するとともに、司法制度の改善に向けた働きかけを強化していく方針です。26年という歳月を経てようやく逮捕・起訴に至った名古屋事件を契機に、全国の未解決事件の遺族に希望を届ける活動がさらに広がることが期待されています。



