イギリス、鉄道完全国有化へ 議会で法案可決、来年にも新公社
イギリス、鉄道完全国有化へ 議会で法案可決

イギリス議会は11日、旅客鉄道を完全国有化する法案を可決した。これにより、現在民間企業が運行する鉄道路線は2027年までに国営の新公社「グレート・ブリティッシュ・レイルウェイズ(GBR)」に統合される。与党労働党が掲げた公約の実現で、国民の負担軽減とサービス向上が期待されている。

法案の概要と背景

法案は、イングランドの旅客鉄道網を段階的に国有化する内容。スコットランドとウェールズは独自の交通政策を持つため、対象外となる。現在、イギリスの鉄道は1990年代に民営化され、複数の事業者が路線ごとに運行しているが、運行の遅延や運賃の高騰、補助金の増大が問題となっていた。特に、コロナ禍で乗客数が減少し、政府の補助金が膨らんだことが国有化の契機となった。

新公社の役割

GBRは、線路の管理と運行を一元的に担う。従来は線路管理会社「ネットワーク・レール」と運行会社が別々だったが、これを統合することで責任の所在を明確にし、運行の効率化を図る。また、運賃の上限を設定し、利用者の負担を軽減する方針だ。政府は、国有化により年間約20億ポンド(約3800億円)のコスト削減を見込んでいる。

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賛否両論

労働党は「国民のための鉄道」をスローガンに、国有化による安定した運行と手頃な運賃を訴える。一方、保守党や自由民主党は「競争の低下がサービスの悪化を招く」と反発。鉄道業界からも「官僚主義的な運営が非効率を生む」との懸念が出ている。しかし、世論調査では約6割が国有化を支持しており、国民の不満の高まりが背景にある。

今後のスケジュール

法案は2026年中に成立し、2027年から順次運行をGBRに移管。完全国有化は2029年を目標とする。既存の運行会社との契約は順次終了し、従業員はGBRに移籍する。運賃は当面据え置かれるが、長期的には物価上昇率を下回る範囲で引き上げられる可能性がある。

イギリスの鉄道国有化は、欧州でもフランスやドイツなど多くの国が国営鉄道を持つ中で、再び民営化の流れに逆行する動きとして注目される。今後の運行実績が、他国の鉄道政策に影響を与える可能性がある。

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