国際原子力機関(IAEA)の定例理事会は10日、イランに対してIAEAの査察に全面的に協力し、貯蔵している高濃縮ウランに関する詳細な情報を提供するよう求める決議案を、賛成多数で採択した。この決議は、イランの核開発をめぐる国際社会の懸念の高まりを反映している。
決議の内容と背景
決議では、イランが過去1年間にわたり、IAEAの要請に応じて高濃縮ウランに関する情報を提供していないことについて「深く遺憾に思う」と表明。イランに対し、直ちに協力的な姿勢に転じるよう強く求めている。外交筋によると、決議案は米国、英国、フランス、ドイツの4カ国が共同で提出した。
採決の結果、賛成21カ国、棄権10カ国、反対は中国、ロシア、ニジェールの3カ国にとどまった。反対した国々は、決議が対話よりも圧力を優先していると批判している。
イランの反応
イランのナジャフィIAEA担当大使は、理事会で声明を読み上げ、現在の状況は昨年6月の米国とイスラエルによる攻撃の結果であると主張。「この決議には何の付加価値も見いだせず、状況をさらに複雑にするだけだろう」と述べ、強い不満を示した。イランは従来、自国の核活動は平和目的であると主張し、IAEAの要求は不当だとの立場を取っている。
国際社会の反応
米国や欧州諸国は、イランの高濃縮ウラン貯蔵量が増加し、査察への協力が不十分であることを深刻に受け止めている。一方、中国とロシアは、決議がイランに対する過度な圧力になるとし、外交的解決を優先すべきだと主張。両国はイランとの経済関係もあり、慎重な姿勢を崩していない。
IAEAのグロッシ事務局長は、イランとの協議を継続し、透明性の向上を図る方針を示している。今後のイランの対応次第では、さらなる措置も検討される可能性がある。



